音楽で日本を征服した少女BoA ロングインタビュー

 息遣いが感じられるほど近くに、向かい合って座ったBoA(本名:クォン・ボア)は、幼げな表情だったが、口から出る言葉はよく磨き上げられた玉石のようだった。

 その玉石は、小さな傷や独特な模様などもあまりない。BoAは自分の内面を自然に隠すことができるほど、鍛えられているように感じられた。

 4月17日夜、ソウル市内のホテルで会ったBoAは、1日中かかったCMの撮影を終え、久々に暇を作り、狎鴎亭(アックジョン)洞の店で服などのショッピングを楽しんできたという。席に座ったBoAは「春物のシャツをいくつか買った」と言って、明るく笑った。

-顔が知られて、ショッピングは難しかったのではないか。

 「化粧を落として、楽な格好をしているとあまりよく分らないみたいです。時々、深く帽子をかぶって映画を観にいくこともあります。みんな、『まさかBoAであるはずがない』と思うみたい」

-最近観た映画の中で記憶に残る作品は?

 「『先生キム・ボンドゥ』ですね。映画を観て泣くことはあまりないんですが、最後の葬式のシーンではわんわん泣いてしまいました」

-暇があったら、一番やりたい事は?

 「休みたいですね。プー太郎のように、遊んで食べて…」

-本をたくさん読むと聞いたが。

 「忙しすぎてあまり読めないんですが、1カ月に3~4冊は読みます」

 最も感銘深かった本は何かと聞くと、「李外秀(イ・ウェス)氏の『トゥルケ(野良犬の意)』」という意外な答えが返ってきた。『トゥルケ』は1981年に出版された、世の中と交じり合えず、絵のためだけにすべてを捧げる貧しい“アウトサイダー”芸術家の物語だ。その本を読んで、感動した理由がもっとすごい。

 「一人の人間が芸術のためにすべてを捧げ、芸術のために生き、芸術のために死んでいくのが感動的だった。芸術のために命までかける、私ならそんなことができるだろうか、と考えました」

-日本でのコンサートで、舞台の上でたくさん涙を流したが。

 「もともとはあまり泣かないんですが、ダンサーやスタッフのことを考えると、胸が詰まって。ファンのみなさんにも本当に感謝したし」


-自分の活動が歴史的にどれだけ大きな意味を持つのか、自負心を感じているのか。

 「韓国人であることを誇りに思っています。たまに、韓国人であることを隠して日本で活動している、という話もありますが、『韓国からきた歌手、BoA』と紹介されますよ」

-日本人にBoAが特に愛される理由は何だと思うか。

 「正直な話、私よりきれいな方も多いんですが、まだ幼く、踊って歌って、日本語も一生懸命に習おうと努力しているからではないでしょうか」

-韓国よりも日本ではるかに人気があるようだが、その理由は?

 「韓国での人気が日本に負けてるわけではないですよ。日本は人口が多いから。日本のレコード市場は韓国の3倍なんですよ」

-韓国と日本のファンの反応に、差はあるのか。

 「似てますね。韓国にも日本にも、追っかけファンがいますし。だけど、日本のファンはすごくマナーがいいんです。ボディーガードが止めると、それ以上近寄ろうとしません。最近は韓国もよくなりましたけど。特に、日本のファンが韓国語の教科書を見て、そのまま描いたような文字で手紙などを送ってくれると、本当に嬉しいですね」

 尊敬する人は?と聞くと、「両親」と答えた。インタビューのあちこちから、家族に対する切ない思いが滲み出た。少女に似合わず「世の中の人すべてが私に背を向けても、家族だけは背を向けないじゃないですか」とも言った。

 しかし、幼くして家を出たためか、幼年時代の思い出や記憶に残るエピソードを聞くと、「今も幼いから。中学校までしか通ってないし。ただ、朝早く起きるのは嫌でしたね」とし、「京畿(キョンギ)道・九里(クリ)市で生まれ育ち、今はソウルに住んでいます。ソウル大学・ピアノ学科大学院に通う兄と弘益(ホンイク)大学・美術大学に通う兄は、ゾチウォンで一人暮しをしているため、あまり会えません。会いたいですね」

 SM関係者はBoAの父が市議員の出馬を準備中だとした。

-両親はどんな方か。

 「家族全員、内気で落ち着いてますね。両親は私を信じて、任せる方です。一々側で面倒みてくれたら、そっちの方が不便だと思う」

-昨年のインタビューでは、携帯電話に入力された友たちは2人だけと言っていたが、今は?

 「2人?必ず同い年でなければならないというわけではないじゃないですか。携帯電話に入力された人は、100人くらいいるかな。電話はかかってきますが、私の方からかけることはあまりないですね」

-その中で、一番の仲良しは?

 「グループ『神話』や『フライ・トゥ・ザー・スカイ』のお兄さんたちと、(チャン)ナラさんと親しいです」

-チャン・ナラさんとは仲が悪いと噂されたが。

 「SMで一緒に歌手の準備をしていて、私が先に歌手になったため、ナラさんが私を憎いと思ったらしいんですよ。でも今はとてもよくしてくれます。会って食事をしたり。韓国ではナラさんの方が人気があるらしいですね」

-平凡な友たちを羨ましく思ったことはないか。

 「何も考えず遊びに行ける時、そうですね。私の場合、マネージャーに誰々に会うためどこそこへ行くと、毎日報告しなければならないから」

 ボーイフレンドについて聞くと、「関心がない」という。「BoAが理想」と話していたサイや朴グァンヒョンなどの名前を挙げると、「ボーイフレンドは多いですよ」と笑った。

-小学校や中学校時代の友たちとは会うか。

 「以前は会ってたけど。最近は電話だけかかってきますね。やっぱり環境が違うから。芸能人になってから、一般の人と仲良くなることはないみたい。本当に、その人が何かを期待して近寄ってきているのかも知れないし。芸能人だから近寄るのか、私が好きで近寄るのか」

-異性については?

 「何と言っても楽になれる人が一番ですね。もちろん、ルックスも良ければ最高だけど。性格が重要ですね。韓石圭(ハン・ソッキュ)さんや安聖基(アン・ソンギ)さんのような」


-急に淋しくなったりすることは?

 「上手くいっているのに、そんなこと考えると悲しくなるじゃないですか。もちろん、たまに考えますけど」

-仕事などすべて放り出して、どこかに行って休みたいとは思わないか。

 「自然の中で休むこと…、そんな休養もせいぜい1~2カ月だと思いますよ。それ以上になってしまうと、仕事をしたくなるんじゃないですかね。母がどこかで私の運命を占ってもらったらしいんですが、私はおばあさんになってまで働く運命らしいですよ」

-コンサートが終わると、空しくなるのか。

 「日本でコンサートを終えた時、少し虚しかったですね。『これからは何をしよう』と考えて」

-病院に入院したことは?

 「昨年5月に風邪で1週間ほど入院したことがあります。あ、そうだ、中国に行かなければならないのに、どうしましょ、SARSで。韓国でも検疫官と中国に行ってきた人の中で3人も感染したらしいですね」

-睡眠は?

 「夢はほとんどみないですね。だけど、最近は寝る途中、よく目を覚ましてしまうんです。必ず1回は起きて、水を飲んでまた寝ます」

-健康管理は?

 「スポーツジムに通っています。午前かお昼休みに行けば、ほとんど誰もいないんです」

-好きな食べ物は?

 「ご飯が一番ですね。ピザやチキンが好きと書いたところもあったけど、ご飯が一番好きです」

-料理も好き?

 「料理が一番嫌いです。私は絶対にいい嫁さんにはなれないと思う。私の性格って、結構男っぽいんですよ」

-大学に行けば、経営学科に行きたいと言っていたが。

 「そのことは話すぎて、もう言いたくない(笑)。いつか、『ホテル』という本を読んで、ホテル経営学科に行こうかと考えたことがありましたが、まるで、BoAがものすごい事業家になりたがっていると、新聞に書かれてしまって」

-今習っているのは?

 「ピアノとバレエ。ピアノは幼いごろ習ったんですが、今やり直しています。バレエは基礎から習っているし。外国語は中国語を習ってます」

 BoAは英語と日本語を流暢に話す。日本のテレビ番組に出演すれば、司会者と冗談を交わせる水準だ。英語は初めは通訳が付くが、途中からは通訳のやることがなくなってしまうほどだ。

 昨年は3カ月間勉強して大学入試の検定試験にも合格している。

-もし、歌手になっていなかったら、今何をしていたと思うか。

 「勉強をしていたでしょう。科学や数学など、理科系が好きでした。外国語も好きだから、外国語高校を行っていたんじゃないかな。外見も、やはりあまり洗練されなくて、飾らないだろうから、顔も今と違っているだろうし」

-歌手の他にやりたいことは?

 「まだ、そんなことまでは考えてませんね。あまり計画を立てないタイプなんです」

-幼いごろの夢も歌手だったのか。

 「はい。幼稚園のごろから。次に、秘書もやってみたかった。社長じゃないから、負担もないだろうし」

-美容整形を受けたと話す人もいるのか。

 「仲のいい芸能人たちも、面と向かって聞いてきますよ。鼻はどこでやったのかって。実は頬の肉が落ちて、鼻がもっと高くなったんです。なのに、日本に行ってくると、韓国の人たちは日本で美容整形手術を受けたと言うし、それで日本に戻れば、韓国で手術を受けたと。だから、『そう。私、飛行機の中で手術受けたよ』と言ってやります」

 BoAは今、身長160センチ、体重45キロ、靴のサイズ23.5センチ、血液型AB型で、今も尚現在進行形で成長しているため、美容整形を受けることができない。

-“値打ち1兆ウォン”と言われるが、そんな話を聞くとどうか。

 「それ、“ほら”じゃないですか?」

-韓国でのコンサートはいつごろ?

 「秋ごろですね」

-宗教は?

 「カトリックです。洗礼名は“キアラ”」

 「IQはどれくらいか」と聞くと、「一度も検査したことがないから、よく分りません」とし、「予想外に低いと思う」という。隣に座っていたマネージャーは「小学校の時は生徒会長をやったし、暇さえあれば本を読んでいる」と話した。

 米国に滞在中の李秀満(イ・スマン)さんとは連絡を取り合っているのかと聞くと、「電子メールのやりとりをしています。近く戻ってくると思う」とし、「李秀満さんに会いたいですね。SMは一般人の考える、そんなSMではないんです」と話した。

 インタビューが終わるごろ、BoAは「ボーイフレンドのことや酒、たばこ、美容整形など、あえて隠さなくてもいいと思うんです。もし、たばこを吸うんなら、吸うと言うべきだと思う。吸わないと言っておいて、後でばれると悪く言われるじゃないですか。嘘はつかない方がいいと思う」と話した。

週間朝鮮取材班

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