チャン・ナラの「遊び場」 映画『オー!ハッピーデー』

 『オー!ハッピーデー』(ユン・ハクヨル監督/18日公開)は、チャン・ナラの「遊び場」のような映画だ。

 スクリーンの中でチャン・ナラは突然怒り出したり、大声で笑ったりして1時間半の間、思いきり遊び回る。あまりにも元気なためか、広いスクリーンが窮屈に感じるほどだ。

 曲がったことが大嫌いな熱血声優のコン・ヒジ(チャン・ナラ)は、あるレジャー企業がパーティー参加者を差別して選んでいることに抗議しに行き、そこの担当チーム長の金ヒョンジュン(朴チョンチョル)に一目惚れする。

 金ヒョンジュンの手帳を手に入れたコン・ヒジは、彼の気を引くためにあらゆる作戦を試みる。最初は不快に思っていた金ヒョンジュンは、次第にコン・ヒジの人間的な魅力に感動する。

 一言で『明朗ストーカーの成功記』とも言えるこの映画は、歌手兼タレントで人気絶頂の「チャン・ナラ」という商品に、「女優の壊れ演技」という最新のトレンドを融合させたよく練られた企画映画だ。

 主演女優のオーバーな演技で笑いを誘うという点で、この映画は『猟奇的な彼女』や『同い年の家庭教師』、『家門の栄光』といった最近の「大ヒットコメディ」の延長線上にある。ヒロインのおかしな家族を登場させる設定も同様だ。

 違いといえば、以前の作品がロマンチックコメディ的な脈絡で男女関係を描「ているのに比べ、『オー!ハッピーデー』はひたすらチャン・ナラのキャラクターにフォーカスを合わせ、ドタバタ喜劇に持ち込むという点だ。

 常にストーリーの中で上手く消化してきたチャン・ナラの「個人技」は、ある時点からはストーリーの存在自体を無意味にさせてしまう。

 チャン・ナラでなければ誰も真似することができない独自の千変万化の表情と独特な声は、単調なストーリーにギャグ漫画のような笑いと活力を吹き込む。カメオ出演した金スミの「意地悪ばあさん」の演技も一品だ。

 しかし、コン・ヒジが実は人知れずボランティアを行っていた「隠れ天使」で、俗物のようだった金ヒョンジュンがコン・ヒジと出会って生まれ変わるという設定は、オーバーなくらいに作為的だ。

 もちろんこの映画がチャン・ナラの「珍技名技ショー」である以上、論理的な展開や観客の感情移入を軽視したことをいちいち攻撃することはできない。

 むしろ気になるのは道徳的価値を強調し、最後の最後になって突然、観客を説得しようとする点だ。特に事件の顛末をクライマックスで解説する結末部分は、『家門の栄光』を参照にしたという印象を拭えない。

 にも関わらずチャン・ナラの個人技は、これらすべての弱点を補ってしまうほどに強力だ。たとえ見た目の悪い「遊び場」でも、自分の魅力を本能的に分かっている子供がそこで思う存分遊び回る姿を眺めるのも、たまにはいいだろう。

李自妍(イ・ジャヨン)記者
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