韓大洙(ハン・デス)は悲運の音楽人だ。
韓大洙はフォークの名曲『幸福の国』、『水を少し下さい』をヒットさせ、渡米した。1997年の日本・福岡公演をきっかけに国内での活動を再開したが、ファンは韓大洙を「何か怪しい人」、「変わり者」とそっぽを向いた。
しかし1999、2000、2002年に連続してリリースされた韓大洙のアルバムは、天才的で独創的な音楽性で多くの人を驚かせた。
そんな韓大洙が25、26の両日、大学路(テハンロ)の同徳(トンドク)女子大学芸術センターで『涙』というタイトルのライブを行う。
小規模の会場で行われる本人初の公演で、15人編成の大型バンドが韓大洙のスケールの大きいヘヴィな最近の音楽を演奏する。このバンドには過去にジョイントアルバムをリリースしたことのあるギターリストの金ドギュンとピアニストの李ウチャンが含まれている。
韓大洙の最近の音楽スタイルは、悲しくヘヴィでじめっとした曲や、今にも壊れそうなラブソングが同居している。
韓大洙は00年にアルバム『永遠の悲しみ』を発表して「もうこれ以上ニューアルバムは出せないだろう」と語ったが、昨年、アルバム『三銃士』をリリース、へヴィなサウンドでカムバックを果たした。悲しみや暗さを持ち合わせながらも希望を捨てない韓大洙の姿に似ている。
「この××みたいな世の中のすべてが腐っている/弾がナまた血の海になり/血生臭い終わりのない戦争…はらわたの裂けたアラーの戦死/エルサレムはまだ泣いているのか」(『滅亡の夜』から)。韓大洙が2000年に発表した曲の歌詞は、最近の戦争を見越していたようで興味深い。
そうかと思えば、韓大洙は大胆にもベトナムの父、ホーチミンとマリファナについても歌っている。「ホーチミンはある意味、本当に面白い人です…約3200日間、果てしない爆撃を日々受けながら/米国の強力な軍事力に勝った唯一の人です」(『ホーチミン』から)
しかし韓大洙の音楽は「嗚呼、私は生きて見せる/太陽さえあれば/夜と空と風の中で」(『幸福の国』から)と歌い、結局は希望を唱える。「君はどこにいる/君はどこにいる/ここにいる、ここにいる/私の心の中に」(『きみ』から)問い合わせ(02)3272-2334。