伝統包装研究家の李ヒスクさん

 「おばあさんたちのお話では、ポジャギ(風呂敷またはパッチワーク)が福を生むと言います。きれいなポジャギがいくつかあれば、小さな贈り物から婚礼用品まで、素敵に包むことができます」

 婚礼の準備で賑わう3月。国内では珍しい伝統包装研究家の李ヒスクさん(44)は「高価でない品物も、ポジャギで丁寧に包めば、品が出て価値のあるプレゼントに変わる」と話す。

 ポジャギが古いスタイルだと考えるのは誤算だ。ワインをスカーフに包んでプレゼントする男性がどれほどロマンチックなことか。

 20年間以上にわたってソウル市・三清(サムチョン)洞で、高級婚礼用品の販売を行っていた李さんが、ある日突然、ポジャギに専門を変えたのも、ポジャギならではの素朴な魅力にとり付かれたためだ。

 婚礼衣裳を作る際に余った布で暇を見ては作ったポジャギが日増しに楽しくなり、花一輪でもハンカチ一枚で包んでプレゼントするほどのポジャギファンになった。

 「生地自体が丈夫で、特別な技術がなくてもきれいに包むことができるんです。家庭でも一度お試しください。余った布切れでも切れ端さえきれいにすれば、四角いポジャギを作るのは簡単です」

 綿、麻、苧麻、シルクなど、どんな布でもポジャギに向いている。使い道によって色や生地をバランス良く揃えれば良い。

 例えば、贈り物用の食品は、食欲をそそる淡いオレンジ色やグリーン系統の綿、苧麻、麻などの天然繊維が適し、還暦祝い用のポジャギには、茶色系統の重厚なシルクが似合う。装身具は派手目の色を選ぶ。さらにワンポイントを加えるなら、結び目に飾り付けをすれば良い。

 真四角なポジャギの包み方も極めて簡単だ。箱はポジャギの中央に置いた後、4カ所の端を集めて色糸で縛ったり、果物かごも取っ手に結び目を付ければ良い。現金や商品券などは菱形にした後、両側の角を重ねてくるくると巻けば良い。

 「竹かごに紙の包装は似合いません。それに、紙の包装よりもポジャギのほうがはるかに簡単です。ポジャギのいろんな縛り方を学ぼうと地方の市場もだいぶ回りましたが、改めて韓国のおばあさんたちの趣と知恵が本当に凄いんだと感じました。4つの角の2カ所を摘まんで一度に縛ったり、一つの角で残りの3つを縛ったりもしますしね」

 李さんは知人の婚礼の度にポジャギの包装をまかなっていたが、先月ソウル市・盤浦(バンポ)洞にある新世界(シンセゲ)百貨店・江南(カンナム)店に「礼」という伝統包装コーナーを構えた。ワインから布団まで、すべてをポジャギだけで包装する店だ。

 「お金のためと言うよりは、ポジャギの趣を紹介するための展示場みたいなもの」と、李さんは最後までポジャギの良さを強調した。

 「ショッピングバッグにプレゼントを入れて渡せば普通ですが、ポジャギで包めば自然と雰囲気が出ます。リサイクルにもなりますしね。

丹念に作ったポジャギは、それ自体が贈り物になりますし、テーブルの上に敷いても趣があります」

金ユンドク記者
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