『テレビ人間劇場』を出版した作家のオ・ジョンヨ氏

 「山里の少女」ヨンジャ、トランスジェンダーから女性になったハ・リス、地から足を離すことのできないチュさん、蚕室(チャムシル)駅で暮すホームレスのソクヒョン…。これらはみんな、KBS第2テレビの『人間劇場』に登場した人物だ。

 放送作家のオ・ジョンヨ氏(40)は、この4年間、彼らを温かい視線で捉え、カメラを通じて世の中に伝えてきた。これまでに『人間劇場』でオ氏の会った主人公は32人。87年から各種番組で紹介した人々を合わせれば、100人以上になる。そんなオ氏が今月初め、『テレビ人間劇場』を本にまとめた。

 18日、オ氏は「人生を生きることほど大きな勇気はない」と語った。オ氏が『人間劇場』を手がけ続ける理由だ。本のはしがきにオ氏はこう書いた。「本当の勇気は生きることにあった。『人間劇場』は私に本当の勇気を教えてくれた」

 誰も注目しなかった平凡な小市民たちは『人間劇場』の中で生気を得て蘇った。「迷路機能障害」を持つチュさんは、一度歩いて行った所は正確に歩いて戻って来るという習慣があった。

 オ氏は「その単純な事実から『直立人間の限界と可能性』を捉えて膝を打った」と語った。2000年11月に放送されたこの作品でオ氏は、同年に行われた第13回韓国放送作家賞を受賞した。

 「携帯電話の広告でお馴染みとなったヨンジャは、私にとって一生忘れられず、いまだに罪悪感と負担感エじます。目まぐるしく変わる世間から山里の少女とその父親の生き方は、熱狂的な支持を得たんです。その最中に、あの事件が起ってしまったのです」

 放送後、ヨンジャ親子はCMなどに登場したが、その金を狙った男がヨンジャの父親を殺害した。オ氏は「放送が人を殺した」といった非難の書き込みで埋まった視聴者掲示板のために何日も眠れない日々が続いたと言う。

 『人間劇場』の「友達とハーモニカ」編に登場したホームレスのソクヒョンは、撮影途中にこの世を去った。

 ソクヒョンの死因はアルコール中毒による凍死だった。オ氏は「誰一人として忘れることはないが、ソクヒョンがなくなった時は本当に辛かった」と語った。オ氏の目にはうっすらと光るものがあった。

 演出の金ウヒョンプロデューサーは「これ以上の撮影はできない」と語り、オ氏と金プロデューサーは、苦痛の中で互いを徹底的に無視し合ったと言う。

 オ氏は87年、全州(チョンジュ)KBSで放送作家としてデビューした。社会運動の活動費を稼ぐためだった。『人と人々』、『生命前線』など、一貫して「ヒューマンドキュメンタリー」にこだわり続けて17年目になる。オ氏はふと「私って、40歳よりも老けて見えますよね?」と尋ねた。

 「私があまりに『人塗れ』になっているから老けて見えるといわれました。常に人々とぶつかって葛藤し、情に溺れて傷付くから…。

それでもまた人が恋しくなるからですね」

朴ミンソン記者
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