野党議員の死で、与野党議員の議席数がちょうど半々になった中、補欠選挙が行われることになった。
仲間がむごい事故に巻き込まれ、深く傷付いた売春婦のコ・ウンビ(イェ・ジウォン)は、腹いせに選挙に出馬する。冗談半分ではじめた選挙運動が進めば進むほどコ・ウンビは、徐々に「政治意識」に目覚めていく。
政治コメディー『大韓民国憲法第1条』(14日公開)には、騒がしい街頭演説が終わった後、清掃員たちが散らかったごみを掃くシーンが登場する。
この映画が伝えたいメッセージの核心がそのまま描かれたようなそのシーンの隠喩通り、ソン・ギョンシク監督は不透明な旧態政治に対する幻滅を、売春婦が立候補した選挙を通じて表している。
この映画のモチーフは一見荒唐だが、イェ・ジウォンをはじめとした出演者たちの熱演で、徐々に現実的な量感を得ながらメッセージを強力に伝える。
しかし、新鮮なこの映画の試みは、声の限りに叫ぶテーマとは裏腹に、本音とは異なった曖昧さのために色褪せてしまっている。
疎外された人々の善意を描くことで「お偉いさん」の偽善を叱咤しようとする意図よりも著しく目に付くものは、何の前振れもなしに登場する習慣的な猥談と女性の肉体を映し出すカメラの視点だ。
男性客は赤面し、女性客は侮辱された気分に陥りかねないこうした話法は、後半になるほど勢いを増し、お決まりの台詞と絡み合ってクライマックスの感動に自ら泥を塗っている。