映画『鳥は閉曲線を描く』で地方大に籍を置く金教授は、自らの哲学を展開し、誰も観ないような映画を作る。金教授が可愛がった学生は「就職ができなくなる」と言って彼の研究室を去る。
酒の席で同僚の教授たちは「大衆的な映画を1本撮ってから、やりたいことをしたらどうか」と勧める。金教授は彼らを制することも、説得することもできず、現実を変える力もない。
高く羽ばたこうとするが、自分の位置を脱することができないまま閉曲線を描いている金教授は、まさにこの映画を作ったチョン・スイル監督(44)自身の姿だ。
チョン・スイル監督にとって憂鬱さは日常のようだ。11日、釜山(プサン)で会ったチョン監督は、ここ10年間、笑ったことのない人のように見えた。
14日に『破壊』のクランクアップを控えた監督の目も、長年の疲れに満ちていた。「今の気持ちは」という質問に、監督は「複雑な心境です」と答えた。
「商業性を目的にした映画ではありませんが、それでもある程度は大衆的な素材を扱っているので、ここまで投資が集まらないとは思いませんでした。原作小説の設定上、基本的な規模があるのですが、制作費の都合上、満足がいくまで撮影できなかったシーンがあり、気が重いです」
『破壊』は金英夏(キム・ヨンハ)の小説『私は私を破壊する権利がある』を映画化した作品。自殺を望む人々と彼らの自殺を助ける男の話だ。
チョン監督は、99年にこの小説を読んだ時に映画化を決心したと言う。「自殺は人生の圧縮という小説の解釈が魅力的でした。死というものは誰もが日々生活をしながら一度は考えたことのある問題ではないでしょうか」
監督の気分が複雑なのは「作家主義」と言われる過去の作品の興行失敗にもある。『私の中で鳴る風』(1997)と『鳥は閉曲線を描く』(2002)は、各種の国際映画祭に招かれて好評を得たが、観客からは徹底して無視された。
『破壊』の版権を所有していた制作会社も、周囲からのチョン監督に対する懸念の声を聞いて手を引いた。2年待ったものの、他の投資先を探すことができなかった。
結局、過去の2作品で作った莫大な借金を抱えたチョン監督は、もう一度知人たちに頭を下げて資金を用意しなければならなかった。創作の魅力は監督にとってそれほど強かった。
「いわば抵抗ですよね。辞めたら終わりだと思って…必死でもがいているんです。時には悲観的な状況で、『怒り』が人を奮い立たせるでしょう」
制作費8億ウォン規模の『破壊』は、チョン監督の過去の作品に比べれば、はるかに大衆的な映画になる見込みだ。有名小説が原作のうえ、鄭普碩(チョン・ボソク)、秋相微(チュ・サンミ)ら映画スターが通常の3分の1の出演料で出演に応じた。
カメラと俳優の距離もより近づいた。『鳥は閉曲線を描く』では主人公・薜景求(ソル・ギョング)の表情が分からないほどロングショット、ロングテイクで一貫したが、今回はクローズアップも登場し、カメラ移動も多用した。人為的な編集を拒むスタイルは変わらないが、観客と共感したいという欲求が感じられる。
パリで映画学を学んだチョン監督は現在、慶星(キョンソン)大映画科の教授も兼任している。監督が立ち上げたトンニョク・フィルムは、釜山だけで映画を制作する唯一の映画会社だ。
「映画を制作するにはソウルの方が便利だが、複雑なソウルは好きではない」という。『破壊』のスタッフの大多数は監督の教え子たちだ。給料のことは考えずに長く制作に携わってきた面々だ。
チョン監督は、休職までしながら映画を撮り続ける理由を「希望みたいなものがあるから」と語る。「努力しただけ成果があると信じます。無謀だと非難されても何も言えません。でも私の映画を共有できる人が必ずいると思うんです」
とつとつとゆっくり語る時のチョン監督は、その作品の主人公のように、少し離れたところに立っているような印象を与えた。その背後には、監督が歩んできた苦難の道のりがひっそりとたたずんでいた。
ロングテイクで少しずつ遠のいていく画面の中で、監督がかすかに笑ったような気がした。