SBSテレビのクイズ番組で14連勝を果した主婦2人

 専業主婦は女性が希望を失う「職業」でもある。

 昨年10月、主婦の金ハジンさん(32)が、SBSテレビの『挑戦クイズクイーン』を見ている途中にはっとしたのも、こうした理由のためだったと言う。金ハジンさんは「妊娠したという事実を知って、何かしなくちゃいけないという焦りに襲われた」と語った。

 11日、『挑戦クイズクイーン』で14連勝の記録を打ち立てた金ハジンさんと李ウォンソンさん(32)は、まだこの事実を実感していないようだった。高校時代の親友同士の二人は、チーム名を「絶対優勝」と名付けた。

 チーム名に劣らない記録を作ったからだろう。最高記録の13連勝を軽くクリアして今なお更新中だ。1勝するごとに100万ウォンずつ、計1400万ウォンの賞金を獲得し、ヨーロッパ旅行券、リフォーム費用、キムチ冷蔵庫など、38種類の賞品も手に入れた。

 金ハジンさんは「ママ予備軍」で、李ウォンソンさんは5歳と6歳の二人の息子がいる専業主婦だ。二人は漢陽(ハニャン)女子大陶芸学科と瑞逸(ソイル)大食品加工学科を卒業後、結婚するまで総合貿易会社で働いた。二人は「私たちは普通のおばさん」という言葉を10回以上も口にした。

「私がクイズ番組に出ると言ったら、夫が常識本2冊を目の前に突き出すんですよ。自信があるなら出てみろって。『私に出来ないことはない』と思って出演したんです」(金ハジン) 

 そして1カ月後、商社に勤める夫の李ガンフムさん(38)の職場の上司は、会社の全社員に電子メールを送った。「李チーム長の奥さん(金ハジンさん)がついに14連勝を達成しました!皆でお祝いしましょう。またまたご馳走になることになりましたね」

 夫の李さんは「賞金よりも支出のほうがもっと多い」と話しながらも、まんざらでもなさそうだった。

 李ウォンソンさんは自他共に認める「インターネットマニア」。息子二人を幼稚園に送り出し、夫が出勤をすれば、すぐさまパソコンの前に座る。

 MP3をダウンロードできる音楽サイトを開きながら、その日のニュースに目を通す。激安店のホームページでショッピングをして、オークションサイトで生活必需品を取り揃える。

 インターネットをやるようになったのは、マシンガンのように浴びせられる子供たちの質問のためだった。「子供たちが『お母さん、スズメは電線の上にいても何で感電しないの?』って質問するのに、すぐに答えられないとまずいでしょう」

 先月9日に『挑戦クイズクイーン』に初出演した時から、李ウォンソンさんのインターネットで得た常識は威力を発揮した。13連勝の記録を持つ「青い心チーム」を相手にしてもひるまなかったのは、李さんが普段から常識を身に付けていたお陰だった。

「家にばかりいると気持ちも落ち込みますが、『挑戦クイズクイーン』に出演してからは自信がつきました」(金ハジン)

「自分が『井の中の蛙』みたいだなって思ったんです。結婚前に5年以上も貿易会社で働いたんですが…。図書館に通いながら昔に戻った気分になりました」(李ウォンソン)

 二人はクイズの準備をしながら一週間に二度ずつ、冠岳(クァンアク)図書館で資料を探して一緒に勉強をした。互いに、のべつ幕無しに質問をし合った。いくら分かっている問題が出ても、言葉で答えなければならない以上、瞬発力が最も重要だと考えたからだ。

 李ウォンソンさんの夫は、現代(ヒョンデ)重工業の高速電鉄研究員の李クァンジュさん(36)。夫は食事の時も「FTAの意味は?」と質問をして妻を応援した。

「週末のたびに、夫と実家の母や姑がスタジオに応援に来てくれるので、家族の仲も良くなりました。賞金以上に得たものが多いようです」(李ウォンソン)

 金ハジンさんは出産を間近に控えている。出産予定日は4月1日で、目と鼻の先だ。収録のたびに、むしろ『挑戦クイズクイーン』のスタッフの方が冷や冷やしている。救急車を待機させなければならないのではと心配しているためだ。

「こんなに勝ち続けるなんて夢にも思いませんでした。お腹の中の赤ちゃんも、お母さんって優秀だねって言ってくれているでしょう。

まさか病院に行ってから『挑戦クイズクイーン』に出ることにはならないでしょう」

朴ミンソン記者
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