ソプラノ歌手のチョ・スミ氏「人工受精をしてでも子供がほしい」

 「できることなら人工受精をしてでも子供がほしいです。妊娠さえできれば今すぐ歌をやめます」

 ソプラノ歌手のチョ・スミ氏(41)が、ショッキングな告白をした。オーストラリアのシドニーオペラ劇場でドニゼッティのオペラ『ランメルモールのルチア』に出演中、最終日の公演を突然キャンセルしてローマに戻り、オーストラリアの一部メディアが「失踪」したと報道するなどのハプニングをもたらしたチョ氏は、14日にローマの自宅で行った電話インタビューを通じて初めて心境を打ち明けた。

 未婚の彼女がこの時点で「妊娠」や「出産」という言葉を発した理由は何か?それに加え「人工受精」まで…。

 「公演キャンセル後にもたらした波紋を和らげるための発言なのか?」と問うと、チョ氏は「何年もの間、子供を持つことを真剣に考えてきた」と語った。

 「2001年に米デトロイトで子宮の手術を受けた後から、女性の私にとっては大変苦しい状況が続きました。オペラの公演途中に出血をすれば、舞台裏で急いで服を着替えたりもしたんです。主治医は子供を産めば、こうした苦痛から開放されると言うんです。でも…、まずは結婚してからでないと妊娠することもできないし…。40を過ぎてもこんな状態なので、一生子供を産むことができなさそうで…。私の人生って不幸なのかなって思ってしまいます」

 「母親になりたい」というチョ・スミ氏の突然の告白は、もしかしたら結婚を暗示しているのではないか。しかしチョ・スミ氏は「結婚はしたいが、まだその相手に出会っていない」という。

 「いつも華麗な舞台照明に照らされる『ディーバ(オペラの女神・女神)』というイメージのためでしょうかね、積極的に近付ける男性がいません」と告白する。

 一時、彼女には結婚説まで出た外国人の「恋人」がいた。今もチョ氏のスケジュール管理をしているとされる彼についてチョ氏は「ああ、あの人」と言いながら「ただの古い友達」と軽くかわした。

 チョ氏はオーストラリアのシドニー劇場で計10回行われる予定だった『ランメルモールのルチア』公演のうち9回を成功裏に終えた。

 主人公のルチアは、魂が抜けたまま歌う「狂乱の場面」のアリアなど、肉体と魂、歌手のエネルギーを100%注いでこそ輝く難関の役だ。

 オーストラリア出身のソプラノ歌手、ジョアン・サザーランドの「はまり役」として知られているルチア役を演じたチョ・スミに対して現地メディアは絶賛を惜しまなかった。

 チョ氏は「好評を得ている公演を1回だけを残した状態で、有終の美を飾ることができず、本当に残念」と話した。

 「ちょうど110日ぶりにローマの自宅に戻りました。ロサンゼルスのオペラ劇場を封切りに、ソウルとシドニーへと続く強行軍だった。今回のオーストラリア公演も何とが耐えてみましたが、天候が暑く、貧血と疲労が重なり、本当に辛かった。出国の前日にも、公演後、夜の12時まで200人あまりのファンにサインをしてあげる強行軍だったんです」。

 「本当に体が痛くてどうしようもなかったのです。ニューヨークにいるマネージャーとシドニー劇場側に話をして、公演を放棄しました。それなのに、現地のメディアが“ゴシップ”で扱い、騒ぎのように映ってしまい、本当に辛いです」。

 チョさんは「マネージャーが“妊娠説”を流したのは、通常、女性声楽家が公演をドタキャンする時、“妊娠”を口実にすると、劇場側も何も言わないため、マネージャーが“軽いジェスチャー”で言及したのだろう」とした。

 また、「今回の私の公演キャンセルは妊娠とは関係がない。故国のファンのみなさんにご心配をおかけして、申し訳ない」と付け加えた。

 「飛行機に乗って、ホテルで寝泊りをして、劇場を移りながら練習して、歌って…。意地で耐えていると言っても過言ではありません。今回の辛い思いも生活の一部に過ぎません。しかし、昨年の冬から続いた今回の公演旅行は、私にはあまりにも辛いものでした。オペラ歌手生活を17年間続いていますが、これまで病院に運ばれるほどの病気でない限り、公演をキャンセルしたことがなかったのに…」。

 チョ・スミ氏の告白は“舞台”と“結婚と育児”の間で葛藤する女性声楽家の悩みを赤裸々に示すものだ。チョ氏は今月22日から3月2日まで、ローマのオペラ劇場でまたもや『ルチア』を歌う。この公演が終われば、ベニスへと飛び、オペラ『ナクソス島のアリアドネ』に出演する。

 4月にはモスクワのボリショイ劇場で公演し、カーネギーホールを封切りに、米国の巡回公演も行う。

 ヒロインとして、今年新たに挑戦するオペラだけで、ムソルグスキーの『金の鶏』など3つに上る。

 チョ・スミ氏は「4カ月ぶりに自分のベッドで眠り、自分の食卓で食事をし、自分の住む都市、ローマでオペラを公演することになった。本当に幸せ」とし、再び“女性”から“プロフェッショナル”に立ち戻った。

金ヨンウン記者
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