「大統領と握手した手でロットくじの番号を当ててくれと頼まれ、大変でしたよ」。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領当選者の物まねで一躍スターになった「盧・統長(町長の意)」金サンテ(29)は、先月、SBSテレビの旧正月特別番組で盧当選者と会って以来、大変な有名税を払った。
コメディアンの先輩、後輩はもちろん、テレビ局の職員までもが詰め掛け、握手を求めたのである。彼は「番組収録後、盧当選者に今月25日の就任式に招待して欲しいと強請ったら、当選者がOKしてくれた」と、目を細めて笑った。
KBS第2テレビの『ギャグコンサート』の『ボンスンア学堂』コーナーに出演している金サンテは、額の太い皺や独特なゆっくりした話し方、背広に付けた“愛の実”のバッチまで、盧当選者にそっくりだ。盧当選者本人も「本当に似てるな」と話したほど。
盧・統長が初めて放送された日、彼は最高の話題だった。盧・統長の話し方は芸能人が最も愛用する“個人芸”メニューとなった。金サンテはKBSのニュース番組にまで出演し、盧・統長の人気を実感した。
「それでもメークを落とせば、誰も分らないですよ。4年間『ギャクコンサート』に出演したんですが、未だ新人かと聞かれます。2001年には『ボンスンア学堂』に“突発クイズマン”として出演しましたが、面白くないと言われ、4週目で“退学”されました」。
1999年にコメディアンとしてデビューし、今年で5年目となる。これまで同期の金デイ、李ジヘなどは『ギャクコンサート』の主役の座を確固にし、後輩たちもどんどん人気を得た。このままではいけない。焦りが出た。
「政権が変われば“スター”が誕生するという話があります。チェ・ビョンソさんやオム・ヨンスさんなどがそうでした。李会昌(イ・フェチャン)候補の物まねはシム・ヒョンソプさんが本当に上手いんですよ。到底、かなわないと思い、盧武鉉候補に決めました」。
金サンテはソウル出身。選挙戦真っ最中の昨年11月、彼は盧武鉉候補の選挙遊説を録画し、寝る前まで一日中繰り返し聞いた。彼の釜山(プサン)なまりは、100%後天的努力の結実だという。
しかし、成功は努力だけでは成されない。チャンスが訪れた。シム・ヒョンソプなど『ギャクコンサート』のレギュラー出演者が相次いで出演できなくなった。急遽新顔が必要となり、金サンテもこれに合流した。初めての収録が行われた先月13日、金サンテは数年間伸ばしていた髪を短く切った。額に深い皺を作るため、40分間メークもした。
その1回の放送直後、インタビュー要請が殺到し、訪れる人も増えた。インターネットサイト「ダウム」の彼のファンサイトには、1週間に1万人以上の会員が加入した。盧当選者を真似る“ライバル”も登場した。
「盧当選者をそのまま真似るだけでは、何も面白くないでしょうね。限界があるはずです。“盧・統長”を通じて笑いを与えられるよう、新しいアイテムを熱心に研究中です」。