金健模が2年ぶりにニューアルバムを発表

 オーバーサイズのコーデュロイのパンツに野球のユニホームのような上着を着た金健模(キム・ゴンモ/35)が現れた。短くカットした髪の毛は寝癖のままで、まだ眠そうな目をしていた。

 嬉しそうに握手をしたと思ったら、赤いたばこの箱を開けだした。まもなく8枚目のニューアルバムをリリースする金健模の最近の姿だ。

「レコーディングはすべて終わったんですが…まだミキシング作業が完全に終わっていなくて、朝の9時に寝たんですよ」

 ソウル市・良才(ヤンジェ)洞にある金健模の事務所は、5階建ての建物全体が「金健模ビル」だ。地下にはスタジオ、4階にはレコーディングルーム、5階には宿舎があるといった感じだ。一昨年5月の7thアルバムリリース後、昨年から缶詰状態になって今回のアルバムを準備してきた。

「だいたいデビューから5年くらいまでは右も左も分からずに“イケイケの状態”でしたが、6年目頃からはスランプに陥りました」

 金健模は「この道を進まなければならないのか、いつまで進めばいいのかといった考えに陥った」と語った。「10年目を迎えた今、その答えが少しだけ分かったような気がします」。

 ニューアルバムは今回も作曲家のチェ・ジュンヨンが参加した。チェ・ジュンヨンが3曲、残りの曲も「チェ・ジュンヨンファミリー」の作曲家たちが手がけた。金健模本人も1曲作曲したが「アルバムに収録するかどうかは未定」という。

 会ってから30分ほど経つと、本来の活発な姿を見せ始めた。

 予備軍の訓練に行った際に防衛兵たちと弁当を貪った話、ジェットスキーの兔許を取りに行った際、試験官が海軍の出身であることを知って「必勝!海軍304期金健模です!」と敬礼した話(金健模は海軍無線部隊の出身)などをオーバーアクションで語った。状況ごとに声や表情を変えながらエピソードを語る金健模のやや黒ずんだ顔にオーラがみなぎる。

 レコーディングルームに場所を移して新曲を聴いた。タイトルトラックの『臭い』は、ラテンの雰囲気が漂うアコースティックギターで始まり、金健模の安定したハイトーンボーカルが冴え渡るミディアムテンポのバラード。

 中低音が特に魅力的な金健模の声は、長音で水を得た魚のように伸びる。音程が急に高くなる時のテクニックも、ベテランドライバーがギアチェンジをする時のようにスリルがある。

 『つばめ』は今すぐにでも流行りそうな曲だ。簡単なメロディーが印象的だ。ダンス曲の『俯いた男』に続いて、彼が「一番好きな曲」として、『マイ・サン(My Son)』を聞かせてくれた。

 「私の幼年時代/母は毎日私に聞いた/あなたは大きくなって何になろうとしてるの…/僕は歌を歌いたいんだ/スティービーワンダーのように歌いたい…/お前は醜男だから駄目だよ/よけいなこと言わないで勉強しなさい」

 金健模の幼いごろの話をチェ・ジュンヨンが歌詞にした。他の曲は途中で止めていた金健模は、この曲を最後まで歌い上げ、「あ、いい歌だ!」と言った。

 ヒップポップのリズムにサイ(歌手)のラップで始まる『イチゴ』で は一層ベビーになった声を披露する。出だしから高音で始まる、カロリー消耗の多い曲だ。彼は「ずいぶん声が太くなったでしょ?」と、満足そうな表情をしてみせた。

 「初期のアルバムは大衆的な人気は高かったけど、中学校の卒業アルバムのようなものでした。ずっとそこに止まる訳にはいきません。今は、力を抜いて、飾りもせず、心を空っぽにすることができました」。

 彼は今回のレコーディングを7時間で終わらせた。1回だけで終えた曲もある。金健模は「レコーディングした日の夜に飲みに行く約束があったので」と冗談を言ったが、生まれつきの才能なしでは不可能なことだ。

 「自分の歌ではないと思えた時は、未練なく、止めるつもりです。できもしないのに、未練たらしく神経を使った挙句、止めるのは嫌ですからね」。

 彼は、「多分、結婚すればこのような恋歌も歌えなくなるだろうし…。結婚が私の人生の転換点となると思う」と言った。「それはいつか」という質問には、「それはこの次、焼酎でも一杯やりながら」という返事が返ってきた。

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者
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