「バレンタインデーにエンパイアステートビルの屋上展望台で会いましょう」
映画『めぐり逢えたら』でアニー(メグ・ライアン)は、サム(トム・ハンクス)に送った手紙にこう書いた。いつもすれ違いだった二人は、映画のクライマックスに出会って恋に落ちる。
2月14日のバレンタインデーまで後1週間。インターネットのポータルサイト「ダウム(www.daum.net)」で最近人気の検索語は「バレンタインデー」と「チョコレート」だ。
5日現在、人気検索語の50位中「バレンタインデー」は9位で、1日に6ランクアップし、「チョコレート」は34位につけている。
カップルたちはすでにバレンタインデーの雰囲気に浸っている。
李ヘジン(女性/26/ソウル市・良才(ヤンジェ)洞)さんは「彼氏とはいろいろありましたが、やっぱりバレンタインデーは無視できません」としながら、「チョコレートをプレゼントして、映画『同い年の家庭教師』を観たい」と語った。
バレンタインデーと映画にはどんな関係があるのだろうか。果たしてプレゼント市場の「バレンタイン特需」が映画街にも及ぶのか。
毎年、この時期にはカップルをターゲットにしたラブコメディが登場する。今年のバレンタインデーに公開されるラブコメディは2本。韓国映画の『同い年の家庭教師』(7日公開)とハリウッド映画の『Two Weeks Notice』(14日公開)。ラブストーリーという点では、すでに公開されて地道な人気を得ている『クラシック』も有力なライバル。
『Two Weeks…』と『同い年…』は、バレンタインデーのイベントを実施する。ヒュー・グラントとサンドラ・ブロックが共演した『Two Weeks…』は、14日の封切りに合わせ、映画館に訪れたすべてのカップルにチョコレートをプレゼントする。
『同い年…』も14日に4組のカップルを選び、洋服と自宅から映画館までのリムジンサービスをプレゼントする計画だ。
フランス映画『A La Folie... Pas Du』 (14日公開)もホームページに感動的なエピソードを送った10人を選び、花束を届けるなどのイベントを準備している。
『Two Weeks…』は封切り日もあえてバレンタインデーに合わせたケースだ。広報担当は「カップルの観客が全体の70%を占めるのでは」と見通した。
しかし『同い年の…』を配給するCJエンターテインメントの関係者は「長期休みや秋夕(チュソク/旧盆)・旧正月シーズンを除いて、特定の時期に合わせて特定のジャンルの映画を公開するのはあまり例がない」とし、「『同い年の…』はバレンタインデーを狙ったというより、冬休みの学生をターゲットにした」と説明した。
「14日当日は『デート映画』として人気を集めることはあり得るが、それ以降もロマンティックコメディが一つの流れになることはないでしょう。映画の“バレンタイン特需”なんて言葉は、薄っぺらな商戦に過ぎません」
ミョンフィルムの沈裁明(シム・ジェミョン)代表は「ヒットする映画はバレンタインに関係なくヒットする」と断言する。
2001年2月、米国でジェニファー・ロペス主演のロマンティックコメディ『ウエディング・プランナー』が2週連続全米1位を記録し、英国では『ハート・オブ・ウーマン』がヒットするなど、外国ではバレンタイン特需が映画界でも多々ある。
しかし、韓国市場は事情が違う。平日のうえ、旧正月の影響で割を食う状況だ。実際、バレンタインデーを見据えて公開した映画が興行に失敗した例も少なくない。99年の韓国映画『恋風恋歌』や『ホワイト・バレンタイン』をはじめ、2000年から昨年にかけても『バンジージャンプをする』(2001年)を除いては、この時期のボックスオフィスのトップ10に入った恋愛映画やロマンティックコメディは皆無だった。
映画評論家のシム・ヨンソプ氏はバレンタインデー用映画に対し、ジャンル的には実態がないと指摘する。「バレンタインデーは誰にとっても『たった一人のための日』。
趣向もさまざまなカップル全てを満足させる映画などあるでしょうか?」