「摩訶不思議な芸能界裏話をお聞かせしましょう」

 作家のペク・ヒョンラクさん(42)ほど、芸能界裏話のあれこれを興味津々な文章で綴る人もあまりいないだろう。

 1999年3月から朝鮮日報に『ペク・ヒョンラクの芸能界ファイル』を書き続けてきた彼が、連載から4年目を控え、これまでに書いた文章を『ペク・ヒョンラクの芸能界Xファイル』という本にまとめた。

 女優の誰々はどうなって、歌手の誰々があんなことをした事情はこうで…。
このような話だけで、あわせて200件あまり。分量は原稿用紙1300枚に達する。

 「寄稿でカネを貯めたんじゃないかって?この文章を書くためにご飯をおごったり、酒をおごったりで、まるで赤字ですよ、赤字!」。

 あいさつ代わりに「儲かってますか」と言ったら、相変わらずの快濶さで反撃してくる。

 ペク・ヒョンラクという名は知っていても、彼の顔を知る人は少ない。ましてや、彼が右足をほとんど使えない障害者であることを知っている人はさらに少ない。生まれた直後、小児麻痺の予防注射を受ける時誤り、そうなってしまったという。彼と初めて会う人の中には、びっくりする人もいるという。

 「それでも、行けないところなんてありませんよ。昨年末は光化門(クァンファムン)で行われたキャンドルデモにも出かけましたが、倒れてしまい、病院に運ばれてしまいました」。

 そこにはなぜ行ったのかと聞くと、「コメディアンの金美花(キム・ミファ)さんに一緒に行こうと誘われたから」という。

 彼の履歴は“芸能界”とは程遠い。高麗(コウリョ)大学・政治外交学科2年だった1982年6月、米国に渡り、会計学で修士号を取得して米公認会計士のライセンスまで取った。

 31歳だった1993年、彼は「C&Cテレコム」という米通信会社の韓国支社長となって帰国した。そして1年後の1994年に書いた本が『アメリカの方、アメリカ人、アメリカ野郎』というエッセーだった。

 「そのエッセーの中で、『コメディー作家になりたい』と書いたんです。米国では1カ月に100万ドルももらうコメディー作家が多いですからね」。以降、彼はSBSテレビ『コメディー展望台』の作家へと変身した。「100万ドルではなく、月100万ウォンの作家になったわけです」。98年のSBSシチュエーションコメディー『LAアリラン』まで、5年間、放送作家として活動した。

 今のトップクラスの芸能人とも、当時仲良くなった。彼は「放送作家当時、170人の新人をインタビューしたファイルを今も持っている」という。すなわち、「ペク・ヒョンラクの芸能界Xファイル」の実体だ。

 沈銀河(シム・ウナ)、金喜善(キム・ヒソン)、ハン・ゴウン、ソン・テヨンといったトップスターが新人だったごろのビハインドストーリーがそっくりそのまま入っている。

 ペク・ヒョンラクさんは情報を確保する方法を4つに分けて話した。1つ目は「自ら情報を提供してくる」読者たち、2つ目は「一生懸命、自分の足で走り回る」こと、3つ目は芸能ディレクターやスポーツ紙の記者を情報源として活用すること、4つ目は問題の“Xファイル”を探ることだ。

 「それと、これは企業秘密なんですが…。芸能人と会った時にライバルの話を振ると、おのずと次から次へと悪口が出てきます。この時に貴重な情報を得るんです」

 文章の性格上、コラムには匿名で登場する芸能人たちが多い。「誰が誰だか分からないと不平を言う読者も多いですが、芸能界ではすぐに誰だか分かります。なので慎重になる以外ないでしょう」

 ある時は「映画でヒットを飛ばし、ラジオのパーソナリティを務める新世代歌手」と表現してスキャンダルを紹介したが、5人から電話がかかってきて、「なぜ私の話を書いたか」と抗議されたと言う。

今までに最も多く登場したテーマは『人生逆転』。特に何もなかった人が、一夜にして新スターになったり、スキャンダルで奈落の底に落とされた芸能人の話が最も多かったそうだ。テーマとは関係なく、最も多く登場した芸能人は、女性では金喜善(キム・ヒソン)、男性では張東健(チャン・ドンゴン)だそうだ。

ペクさんは昨年、模範的な活動をする芸能人に贈る「スター善行大賞」を作った。2月6日に行われる「第2回スター善行大賞」の授賞式では、金恵子(キム・ヘジャ)、車仁杓(チャ・インピョ)・辛愛羅(シン・エラ)夫妻、チャン・ナラなどの10人が受賞する。

 今回の本の売上も、全額を朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の子供を支援する運動に寄付する。

ペク・ヒョンラクさんは最近、エンターテインメント投資コンサルティング会社を経営している。それでも『演芸界ファイル』をこれからも書き続けるという。

 「芸能界にとても魅力を感じるので、当分はやめられないでしょう。

常識と真理の代わりに幻想と冒険に満ちた場所が、芸能界以外にありますか?」

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者
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