「ソウルはドラマ、地方はアクションが人気」

 韓国の映画観客の趣向が地域によって大きく多様化している。ソウルの観客と地方観客の趣向が異なるのは以前からも指摘されているが、最近になってその傾向が顕著になっている。

 昨年最高のヒットを記録した『家門の栄光』は、ソウルと地方でそれぞれ160万人と349万名の観客動員を記録した。割合ではソウルが3で地方が7となる。

 『公共の敵』、『光復節特赦』、『色即是空』、『夢精期』など、ヒットを記録したコメディ映画が動員した記録もこれと非常に似ている。

 一方、韓国映画のコメディブームの中で2位につけた『家へ…』やSF映画に分類される『2009ロストメモリーズ』はソウルと地方の観客動員の割合が4対6だった。

 地方の観客は中でも軽いコメディ映画やアクション映画を好むようだ。昨年ソウルで観客動員に失敗した『ファミリー』と『四本指の足』は、地方ではまずまずの成績を残した。

 こうした傾向は外国映画にも当てはまる。ドラマ的な内容の場合、ソウルと地方での差はほとんどないが、アクション映画はソウル1、地方2の割合で、地方での人気が高い。

 配給会社の一関係者は「地方の観客はロマンチックでほのぼのとした映画より、アクションやスケールの大きい映画を好むようだ」と語った。


 観客動員数は増え続けており、映画振興委員会が昨年11~12月にソウルや釜山など全国6都市の14~49歳の男女1600人を対象に行ったアンケート調査によれば、最近1年間に映画館で映画を観た人の割合は64.9%で、平均7.96本の映画を観た数値を全体人口で換算すると、1人あたり5.17本の映画を観たことになる。

 1999年にはソウル市民1人あたりの年間映画観覧数が3.97本だったことと比較すると、大幅に増えたことになる。

 また、相対的に韓国映画を好む観客の方がより多くの映画を観ていることがわかった。昨年映画館で映画を観た1039人のうち、韓国映画を好む観客(560人)の平均鑑賞数は8.23本で、米国映画を好む観客(330人)の7.81本を上回った。好きな映画をジャンル別に見ると、コメディ(31.9%)が最も高く、アクション(21.7%)、ラブストーリー(12.7%)、ヒューマンドラマ(8.9%)の順だった。1999年の調査ではアクション(37.1%)、ラブストーリー(18.2%)、サスペンス(13.2%)、コメディ(11.3%)の順だったことと比較すると、コメディの躍進が目立っている。

 2001年の韓国映画ヒット作5作品の観客占有率はソウルを基準に54.4%、10作品の観客占有率は76.6%だった。それが02年には5作品で34.7%、10作品で54.4%の観客を集め、特定作品の“一人勝ち”は目に見えて減ったことがわかった。

 映画専門家らは、地方の観客急増が、ここ数年の全体的な映画観客動員数の増加をけん引していると見ている。シネワールドのチョン・スンヘ代表取締役は「以前は観客比率がソウル1:地方1.5程度だったのが、最近では1:3に迫るほど地方の観客が急増している。『マイノリティ・リポート』のように、一見アクション映画のようで実際は頭を使う映画は、地方では苦戦する状況になった」と指摘した。

朴敦圭(パク・ドンギュ)記者
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