俳優チョ・スンウ「やっと春香伝のイメージから脱皮できた」

 俳優のチョ・スンウ(22)の顔には深さを測り切れない川が流れている。一見、幼いルックスをしているが、ある時は30近くにも見える。かもし出す雰囲気がいっそう成熟したためだ。

 チョ・スンウがこの3年間にスクリーンで演じたキャラクターは、好青年から残忍な殺人魔まで非常に幅広いものだった。

 デビュー作の『春香伝』で暗行御史の李夢龍(イ・モンヨン)を演じたと思ったら、『ワニとジュンハ』では少女漫画に登場するような初恋の主人公を演じ、『フー・アー・ユー』では24時間をパソコンと過ごすゲームプログラマーを演じた。

 『YMCA野球団』に子供じみた青年役で友情出演してコミカルな演技を披露したと思えば、スリラー映画『H』では、緻密な連鎖殺人犯役を難なくこなした。

 こうしたさまざまな顔を持ったチョ・スンウが、今度は70年代の制服を着てスクリーンに帰って来た。郭在容(クァク・チェヨン)監督の新作『クラシック』(31日公開)がその舞台。22日に会ったチョ・スンウは、非常に落ち着いた感じだった。

 「映画が変わる度に日常の中での私の性格までも少しずつ変わっていくような気がします。『クラシック』の撮影中は口数も少なくなりました。本やビデオも大人しいものだけを選んで見ました」

 娘の現在と母親の過去が交錯する映画『クラシック』でチョ・スンウは、母親のチュヒ(ソン・エジン)の高校時代の恋人、ジュンハ役を演じた。  


 雨の中、チュヒを背負いながら歩く叙情的なシーンから、ベトナム戦争で戦友を担いで走るアクションシー唐ワでをこなさなければならない体力勝負のラブストーリーだ。

 「涙を流すシーンが一番大変でした。最初はすぐに涙が出るんですが、何回もやっているうちに見慣れてきちゃって最後は涙が出なくなっちゃいました。なので、その後はロケ現場で映画の挿入歌をいつもヘッドフォンステレオで聴いていました。曲さえ聴けば映画の中の幸せなシーンや悲しいシーンのすべてを思い出せて、まるで催眠術にでもかかったように涙が出るんです」

 チョ・スンウは『義兄弟』、『明成皇后』、『地下鉄1号線』などに出演したミュージカル俳優出身。『フー・アー・ユー』でフォークギターを弾きながら歌うシーンでは、巧みなギターテクニックを披露した。

 中学生の頃には教師に「トイレに行っても良いか」という言葉さえも言えなかったほど内気だったチョ・スンウは、高校1年生の時にミュージカルと出会ってから人生が180度変わったという。

「クラスメートがうんざりするほど、休み時間のたびに歌を歌うほどでした。数学の時間に前に出て問題を解かされた時は最悪の気分でしたが、ミュージカルで大きな舞台に立った時は最高の気分でした」

18歳の時に出会った映画は、チョ・スンウに新たな世界をもたらした。オーディションで巨匠・林権澤(イム・グォンテク)監督の作品に出演が決まると、チョ・スンウは一躍「忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)の期待の新人」になった。しかしそれはまた、本人には足かせにもなった。

 「私が何をしても『春香伝』の話をされてしまうんですよ。イメージチェンジしたくて演劇で乞食を演じたら、『李夢龍、乞食になる』なんて報道されましたから。このイメージから抜け出そうともがいて、やっと少し足かせが外れたら、かえって李夢龍時代がどれだけ気楽だったか気づかされました。これからは自分の力で映画を背負わなければなりませんから」

 物静かに語るチョ・スンウと話すうちに、30代の男性と会話しているような気分になった。釣りが趣味で、カラオケの18番は『30歳の頃』。彼の成熟した演技は、こうした趣味に起因するのだろうか。

 出演作ごとに雰囲気が一変しますね、と言うと「いい役に恵まれたから」と恥ずかしげに笑った。細い目元が緩むと、ついさっきまで「若年寄」のようだったチョ・スンウが天真爛漫な少年に変わった。

李自妍(イ・ジャヨン)記者
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