ホラー映画の波が押し寄せてくる!

 ホラー映画やスリラー映画はヒットさせるのが難しいというのが、韓国映画界の長年の通念だった。しかし、昨年公開されたホラー映画『フォン』が記録した期待以上の興行的成功は、映画界に「シナリオさえしっかりしていれば、ホラー映画でもヒットできる」という認識を広めた。

 さらに『フォン』は多額の制作費を投じた期待作でも、大物俳優をキャスティングしたわけでもなかったという点で、中小の映画会社にも希望を与えた。

 そうした影響だろうか、現在制作中の韓国映画の中には、本格的なホラー、スリラー映画が目立つ。それも殺人鬼に追い回されるといったスリラー風のホラー映画よりは、幽霊が登場する伝統的なホラー映画が主流だ。数年前までは怪奇なホラー映画の主人公は新人や助演級の俳優たちが多く出演していたが、最近ではトップスターたちもホラー映画を選択している。

 5月初めに公開予定の『4人用食卓』(リスヨン監督)は、興行の成功を保障する全智賢(チョン・ジヒョン)と朴新陽(パク・シニャン)が主役を演じる“超豪華キャスティング”で注目を集めているホラー映画。

 一人の男がある日突然、食卓で死んだ子供たちの霊を見るようになってから、平穏だった日常が恐怖に染まるという内容だ。『猟奇的な彼女』でダンスの腕前を披露した全智賢は、この映画で幽霊を見た陰のある女性を演じ、病人のような顔色の暗い顔で一貫する。

 映画会社側は、当初はこの映画のジャンルを“オカルトスリラー”や“心理スリラー”と紹介していたが、最近では“ホラー映画”とオてプロモーションすることにしたという。それだけ“ホラー”というジャンルが確立されたわけだ。

 『反則王』で大物監督の仲間入りを果たした金知雲(キム・ジウン)監督も『スリー』に続いてホラー映画を選択した。英国のゴシック小説から『フランケンシュタイン』などのゴシックホラージャンルが誕生したとするなら、5月末に公開予定の『薔花、紅蓮』は、古典小説の『薔花紅蓮伝』を現代的に解釈したホラー映画だ。

 映画の企画自体はだいぶ前からあったが、『フォン』の成功以降、ホラー映画に対する投資家らの意識が変わり、今回初めて資金調逹の問題が解決された。

 『ハッピーエンド』の鄭址宇(チョン・ジウ)監督は、カン・キョンウク氏の漫画を原作にしたホラー映画『二人だ』を準備中だ。映画会社側は家庭に代々伝わる前世の報いが現代まで続くといった内容を、このジャンルの法則に則って描く計画という。

 劉智泰(ユ・ジテ)、金ミョンミンの主演で、最近クランクインした『鏡の中に』(金ソンホ監督)は、デパートのトイレや狭い車中など、被害者以外には誰もいないような場所で殺人が起きるという奇怪な内容を扱う。映画会社「ミロビジョン」も、初の長編映画として『南極日記』(イム・ピルソン監督)というホラー映画を選んだ。

 その他にも『リング』で知られる日本の中田秀夫監督の『仄暗い水の底から』が2月に公開予定で、今年はどの年よりも恐怖で満ちた1年になりそうだ。

李自妍(イ・ジャヨン)記者
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