今年一番期待される韓国映画は『殺人の追憶』

 昨年の韓国映画の劇場シェアは45.6%で、2年連続で40%以上のシェアを維持して韓国映画の人気を証明した。

 しかし映画人たちは「今年は非常に厳しい1年になるだろう」と口を揃える。外見の成長とは異なり、制作費の上昇などで映画1本あたりの収益が大幅に減り、金融資本の投資が落ち込んでいるためだ。

 しかし今年公開予定の作品リストを見れば、こうした落ち込んだ雰囲気を打開してくれるだけの期待作が少なくない。映画人たちはどんな作品に期待しているのだろうか。映画制作者と評論家10人の意見を集めた結果、ボン・ジュンホ監督の『殺人の追憶』が最も多くの支持を得た。

▲金ソヒ(映画評論家)=『薔花、紅蓮』(監督:金知雲(キム・ジウン)/制作:映画社「春」)。マイナージャンルともいえる冷酷で陰鬱な中世風の“ゴシックホラー”を忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)で、という試みが新しい。

 『クワイエット・ファミリー』、『反則王』の金知雲監督が再現した古典『薔花紅蓮伝』がどんな姿になるか期待される。

▲シム・ヤンソプ(映画評論家)=『殺人の追憶』(制作:サイダース)。不條理な現象を見抜くボン・ジュノ監督の目が、今回は何をターゲットにするのか期待される。

 迷宮入りした実際にあった殺人事件を素材に扱った点も興味深く、宋康昊(ソン・ガンホ)と金サンギョンの“演技アンサンブル”も見過ごせない。

▲沈裁明(シム・ジェミョン/ミョンフィルム代表)=『殺人の追憶』。シナリオが充実している。宋康昊や金サンギョンといったトップ俳優の起用で、デビュー作『フランダースの犬』で“50%の成功”にとどまったボン・ジュノ監督の演出力をいっそう輝かすだろう。作品性と話題性を同時に兼ね備えた作品。

▲オ・ジョンワン(映画社「春」代表)=『スキャンダル/朝鮮男女相悦之詞』(監督:李在容(イ・ジェヨン)/制作:映画社「春」)。朝鮮時代を背景に男女の三角関係を扱うため、『春香伝』や『酔画仙』といった映画とは異なった破格のスタイルを披露してくれるだろう。原作が18世紀のフランス小説であることも異彩を放っている。

▲李スンジェ(LJフィルム代表)=『トンケ(雑種犬)』(監督:クァク・キョンテク/制作:ジンインサフィルム)。非常に人間的なコメディだと聞いたが、監督は話したいメッセージを発信し、観客は笑える作品であると思われる。笑いの深さを見せてくれると期待している。

▲李チュンヨン(「シネ2000」代表)=『実尾(シルミ)島』(康祐碩(カン・ウソク)監督、ハンメク映画)。韓国人監督による韓国を素材にした映画だが、ハリウッドのメジャー映画会社が投資するのは初めて。ハリウッドが世界配給を手がけるだけに、ほかの韓国映画の海外進出にも大きな影響を及ぼすはず。

▲チョン・チャンイル(映画評論家)=『ナチュラルシティ』(閔丙天(ミン・ビョンチョン)監督、チョウ・エンターテインメント)。SFは韓国映画にとっては「鬼門」のジャンルだった。『ナチュラルシティ』はあらゆる面でビジュアルの限界を超えた初の韓国SF映画になる可能性が高い。

▲チョン・スンヘ(シネワールド代表取締役)=『殺人の追憶』。世の中にはこの作品の素材となった「華城(ファソン)連続殺人事件」のように未解決の完全犯罪が多い。この作品がそれだけ大衆性を持っているということだ。ボン・ジュンホ監督が今回の刑事映画でその才能を遺憾なく発揮するものと期待している。

▲チェ・ナックォン(ヌーン・エンターテインメント代表)=『実尾島』。ハリウッド資本で初めて制作される映画で、その象徴性の面から注目している。ユーモアをにじませた映画を撮ることでは一目置かれた康祐碩監督が、シリアスなドラマに挑戦する点でも興味深い。

▲ファン・ウヒョン(チューブ・ピクチャーズ代表)=『ナチュラルシティ』。コンピューターグラフィックの完成度を高め、SFブロックバスターとしての成功が期待される。韓国映画がSFで成功すれば、映画産業にも影響を及ぼすだろう。

朴敦圭(パク・ドンギュ)記者
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