人間の感情を持つロボット『メトロポリス』

 ロボットが問う。「人間はどうしていつも暴力で問題を解決するの?」。人間がそれに答える。「感情の産物だからさ。感情がなければ人間とはいえないから」

 手塚治虫という巨大な恐竜のしっぽは、21世紀まで続いていた。2001年に制作されたアニメーション『メトロポリス』(17日公開)は、『鉄腕アトム』を描いた手塚治虫が、1949年に発表した作品を原作にしたものだ。

 『アキラ』の大友克洋が脚本を手がけ、『銀河鉄道999』のりんたろう監督が演出して生まれ変わった。そのため「ロボットのアイデンティティ」について映画が投げかける疑問の根底には「人間とロボットの幸せな共存」という手塚治虫のテーマがある。

 未来都市のメトロポリス。権力者レッド公は地球征服のための手段として、死んだ娘とそっくりな人造人間のティマを誕生させることに成功する。レッド公の養子ロックはティマを消そうと考え、ケンイチ少年に助けられたティマは自分がロボットであるという事実を知らないまま人間の感情を養っていく。

 1940年代には驚かれた想像力も、21世紀に観ると多少色あせた感が否めない。子供たちが観るには台詞の内容も難しく、雰囲気も暗鬱な感じだ。しかし映画が描き出している未来像と深いテーマ意識は依然として強烈だ。

 CGで完成されたスペクタクル3D背景画面とアトムをほうふつとさせる2Dのキャラクターは、不調和な中にティマの不適応をさらに浮き彫りにする効果をもたらした。

 中でも名曲『I can’t stop loving you』と共に未来の夢が崩れ落ちる瞬間は、この映画の名場面の一つといえる。「ワタシハダレ…」というティマの繰り返される言葉と共に。

李自妍(イ・ジャヨン)記者
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