歌手デビューしたパティ・キムの娘 カミーラ・ゲディーニ

 出藍の誉れ。カミーラ・ゲディーニ(25)のデビューアルバム『Introspect』は、彼女が大物アーチストのパティ・キム(63)の娘だという理由だけでも、直ぐに聴いてみたいアルバムだ。

 オープニングであると同時にタイトル曲でもある『グッバイ』のサクソフォーンの伴奏に乗って、彼女の声が流れ出す。まるで母親パティ・キムの藍色の声を彷彿とさせる蒼い声だった。

 ニューヨーク在住の母とイタリア人の父、アルマンド・ゲディーニの間に生まれたカミーラは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で音楽を専攻し、アマチュアロックバンドのボーカルとアカペラグループのメンバーとして活動した。

 歌手デビューを勧める人や、ブロードウェーの舞台を勧める人もあった。しかし、彼女にとって歌手という職業は「公演のためにわざわざ遠出をしなければならない疲れる仕事」であった。

 1999年2月に母親のデビュー40周年公演の舞台にゲスト参加したカミーラは、その時から“舞台の感動”に目覚め、2001年には女性団体連合の後援会長を務めるパティ・キムの寄付金を呼びかける全国ツアーに同行しながら、歌手の道に進むことを決めた。

 カミーラのデビューは、本格派の女性ボーカリストが極めて少ない韓国の音楽シーンにとって嬉しいニュースだ。最初から声量や音色がないかのようなダンスグループのリップシンク(口パク)に食傷気味の音楽ファンから、熱烈に歓迎されるだろう。171センチのスマートなスタイルにヨーロッパ的なルックスまで兼ね備え、“武器”も完璧だ。

 16曲が収録されたカミーラのデビューアルバムは、基本的にR&Bのリズムが中心の旋律のはっきりとしたポップスがメインだ。タイトル曲の『グッバイ』は、透き通った音色とデニー・チョンのサクソフォーンが心地よい曲。

 『やがて私に』はクリアな歌声とテクニックで人気の男性アーチスト、ソン・シギョンとデュエットした曲。『ここに来てから…』はラテンムードに満ちたボサノバの曲で、このリズムにぴったりな金ヒョンチョルがバックボーカルとして参加している。

 デビューアルバムでカミーラは、あえて抑えた歌声を聴かせようとしている感がある。ハイトーンでクリアに歌い上げる母親のスタイルは聴こえてこない。しかしカミーラが作詞した英語の曲『Tell Me』は、彼女がロックバンドのボーカルだったという事を悟らせてくれる。バラードとロックの間を行き交うボーカルの魅力をこの一曲に込めた。

 世界的にも遜色ない『行くのね』と高音が魅力の『If You Go』では、カミーラの現在よりも、今後発表されるアルバムに期待を持たせる一味違ったボーカルを披露している。

 アルバムだけを聴くとカミールは非常に安定した出発をしたように見える。しかし、どうしても「パティ・キムの娘」という言葉が付きまとい、今後の自立が課題として残る。本人もデビューアルバムのリリースに際してこう語った。

 「私がパティ・キムの娘ということは変えることができません。大切なのは今後だと思います。

実力が認められ、アーチストとして一人立ちするのが私が目指すところです」

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者
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