7年ぶり主婦から女優に復帰した金喜愛

 薄化粧の下の素肌には、小じわひとつなかった。7年ぶりに本格的に女優業を再開したタレントの金喜愛(キム・ヒエ/36)は、涼しげな目鼻立ちと気品ある物腰で、『息子と娘』の後男(フナム)役をほうふつとさせた。息子二人の子育てに専念していた“生活臭さ”は微塵も感じさせなかった。

 「耳も鼻も指の感覚もなくなりました。氷点下20度の寒さの中で、一晩中立ちっぱなしだったんです。なんでこんな苦労をしているのかと思ったくらい」

 歯に衣着せない“金喜愛トーク”も相変わらずだった。7日未明まで、江原(カンウォン)道・束草(ソクチョ)で復帰作となるKBS第2テレビ『妻』の撮影をこなし、その日の午後にインタビューに応じた。

 「いい演技をするためには、現実を忘れなければなりません。でもすっかり普通の生活を楽しんでいたので、これが難しくて。カメラの前で子供たちの食事の心配をしてしまったり…。至らないことだらけです」

 こう謙遜するが、今月6日にスタートした『妻』のインターネット掲示板には「喜愛さんの変わらない姿、演技力に感動した」という書き込みが相次いでいる。7年前に突然失踪した夫を、姑の世話をしながら待ち続ける良妻賢母とキャリアウーマンを両立する「ナヨン」を演じている。


 「もうそろそろ復帰する頃だなと思ったんです。今復帰しなければ、このまま歳月だけが流れてしまう気がして怖くて。これからの目標は、ラブストーリーのヒロインではなく成熟した女優です」

 金喜愛は充電期間中、意外なことに演技に対する欲がなかったという。ドラマを見ても「撮影が大変そう」という程度にしか思えなかった。その代わりに彼女が得たものは育児の喜びだった。

 夫の李燦振(イ・チャンジン/ドリームウィズ社長)さんとの間に生まれた二人の息子、ギヒョン(5)君とギフン(3)君は、おくるみの中で母親の愛情を一身に受けた。金喜愛の趣味は息子を負ぶって近所を散歩すること。夜には大きな布団を敷いて夫と自分の間に子供たちを寝かす。

 「今でなければいつ子供たちを見られるんだろうという心細さがあったんです。いつかはまたカメラの前に立つだろうと思っていました」

 そんな中、金喜愛は週に5回以上スポーツクラブに通って1時間ほど汗を流し、毎月定期的に皮膚科の診療を受けて未来に備えた。子供の頃に演技生活を始めて体得した徹底的した自己管理が、30代後半の主婦に20代にも劣らない若さを与えたようだ。

 結婚生活について聞くと、大きな身振りで「とても大変だ」と言う。「親しい友人と旅行に行っても短所が見えてけんかになるのに、何十年も違う人生を歩んできた人と同じベッドを使うことが容易いことですか?それでも、守ってくれる人ができたという何ともいえない暖かさは、何ものにも変えられない喜びです」。

 98年に夫の燦振さんが経営難に対する責任を負い「ハングルとコンピュータ」社の一線から去り、気苦労の多かった金喜愛は、当時の経験が夫婦の絆をいっそう強めたと回想した。

 視聴者は久しぶりにブラウン管に登場した金喜愛を見ても、あまり驚かなかった。それは毎日のようにCMに登場していたからだ。「かなり稼いでいるのでは?」と冗談を飛ばすと、にっこりと笑いながら首を横に振った。しかし、しばらくの間、CMには一切出演しないという。それほどまでに女優として再び活躍するための努力が要されていると感じた。

 「私の充電期間はすべて終わりました。主人公の叔母役として出演しようと、私だけのカラーをアピールしたいです。

85年のデビュー作の『女心』の時のように、何も考えずに真っ直ぐだった情熱で臨みたいと思います」

チェ・スンヒョン記者
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