「ソウルライフ」を漫画で紹介する田上陽子さん

 「ジェットコースターよりも早いスピード!、命だけの急カーブ!!、スリールがほしい時は韓国のバスに乗ろう!!」

 東京生まれのおばさん、田上陽子(30)さんの「ソウルライフ」を描いた4コマ漫画が最近、インターネットで人気を呼んでいる。地下鉄で席が空いた瞬間、荷物を投げかけて猛スピードで走ってきて座るおばさん、隣の人の肩に頭を乗せて居眠りにするサラリーマン…。

 インターネットサイト、「日本語ドットコム(www.ilbono.com)」に連載されている4コマ漫画『陽子の韓国日記』にはソウルの風景が辛らつながらもコミカルにに描かれる。

 殺風景な出来事ばかりがネタになるわけではない。地下鉄の中で居眠りしていたら、肩にかけていたバッグが引っ張られて「スリか!」とびっくりしたが「遠くまで行くの?持ってあげるよ」と笑うおばあさん。「日本から来たの?」と言われ、緊張した瞬間、ためになる韓国語を教えてくれるタクシーの運転手さん。

 2年間、ソウルで出会った韓国人の姿は、短気で直接的でやや荒っぽい感じはするが、ユーモアと人情味が溢れている。


 陽子さんの「ソウルライフ」は「新婚ライフ」でもある。中国留学時代に出会った韓国人、朴ヨンサン(29)さんニ結婚した陽子さんは2年間、ソウルで暮らしながら経験したことを漫画の素材にしている。

 陽子さんが「韓国人」に対して出した結論は、「ちょっと唐突だけどとても暖かい人々」。「ソウルでは東京で生活していた時には想像もできなかったことが1日に数回も起こります。最初の数カ月間は泣きたい思いでしたが、もう私も韓国人になったみたい。たまに日本に帰ってバスに乗ると、『どうしてこんなに鈍いの』と焦ったり、タクシーを捕まえようと、車道に下りて手を振ったりして日本の友達をびっくりさせますからね」

 『陽子の韓国日記』を始めたのは昨年秋から。日本語ドットコムでインターネット講義をしながら、面白さ半分で描き始めたが、思った以上の人気を呼んだ。

 よくネタにするのは「世界で最も怖い」といわれる韓国のおばさんたち。一見、無礼で強欲に映るが、実際には余裕と度胸、そして見識と知恵まで兼ね備えていて、陽子さんが最も好感を抱いている友達だ。「トイレで列をなしている時とか、地下鉄で隣に座ったということでも親しくなり、お喋りが始まります」

 我が子に対する愛情と献身では韓国の母親に勝る者はいないというのが陽子さんの主張だ。

 物価に比べとてつもなく高い私教育費。そうであるにもかかわらず、子供の教育とあれば自分が犠牲になるのは全く問題にならないとでもいうように我が子に尽くす母親達。

 子供に対して激しく執着する姿は悲しくすら映る。家庭や社会で女性の負担が大きいことにも面食らったという。

 「1年に5回はある祭祀をはじめ、結婚式、トルジャンチ(満1歳の誕生日のお祝い)、ジプトゥリ(新しく引っ越した家に知り合いを招くこと)、秋夕(チュソク/旧盆)、正月まで、これらの行事を取り仕切るのは女性の仕事でした。男性達も少しは助けてくれますが、家に関する仕事では女性の負担が男性よりはるかに大きいです。新婚時代は泣きながら夜を明かしたこともありました」と語る。

 「第三国でお互いに同等な条件で結婚生活を始めていれば、こんな悲しみを感じることもなかったのでは・・・と思うこともあった」。

 時間と情が最高の薬だった。「どう接していいか全く分からなかった嫁ぎ先の家族達や親戚とも今では仲良くなりました。『負けることが勝つことだ』と教えてくれた義母の言葉がどういう意味なのか最近は少し分かるような気がします。私の小言が効いたのか、夫も最近は掃除と洗濯の名人になりました」。

 真っ赤な波が競技場を満たしたワールドカップのように、大統領選挙までもまるで「イベント」のように盛り上げる韓国人の間で毎日が楽しいと語る陽子さん。

 来年には赤ちゃんが欲しいという陽子さんは「家庭の大切さ、責任感を大切にする韓国式の教育に、他人に迷惑をかけないという日本式の教育をプラスするつもり」と語った。

金ユンドク記者
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