『品行ゼロ』は夢も希望もなかった80年代、1人の高校生が初恋の純粋さと出会う物語だ。
新人のチョウ・グンしク監督は腹を抱えるほど笑わせたかと思えば、徐々に胸をジンとさせる感覚的な演出力を発揮した。スピード感溢れ、キッチュ的画面を漫画のページをめくるような感覚で仕上げた編集も小気味良い。
80年代に学生生活を送った観客であれば、映画を観てひざを叩きながら笑わずにはいられないエピソードが数多い。時代的背景を繊細に描き出す技法が、ここ最近登場した一連の復古映画の中、断然優れている。
チュンピルやナヨンなどは、一様に勉強には関心がなく、けんかに明け暮れる“不良少年少女”であるが、驚くほどに観客に共感を与える。
特に、クラシックギターの旋律が流れる中、チュンピルが真新しい服を着こんで転校生のサンマンとの決戦に挑むシーンは、爆笑の中に隠されたペーソスの真髄を味わせてくれる。