『カミング・ホーム』の作家・金ジユン「私を捨てた母を理解する」

 「今回も結局、母を見つけることができませんでした。でも諦めません」

 25年前、7歳の時に米国に養子に出された作家の金ジユン(32/米国名,Katy Robinson)さん。母親と故国を“取り戻す”ための自分の旅程を描いた本『カミング・ホーム(原題:A Single Square Picture)』を刊行し、米国で好評を得た金さんは、この本の韓国語版を出したチュンシム出版社の招待を受け韓国を訪問した。

 1997年、ジェファーソン研究基金を獲得してソウルを訪問したことを含め、母探しの韓国訪問は今回で3度目。98年、方一栄(パン・イルヨン)文化財団の奨学金を得て韓国で1年間研修した時も、母を見つけるために百方を走り回り、健康を害して帰国した程、金さんは生みの母に会いたがっている。

 「母に会って『恥ずかしがったり申し訳なく思う必要はない』と伝えたい。7年間育てた娘を手放さねばならなかった母親がどんなに辛い思いをしたか、それがどんなに苦しい決心だったのか、同じ女として理解することができる年になりました」

 金さんの母親は妻子のある男性との間に産まれた娘を7年間育てたものの、結局、米国に養子に出すことにしたという。米国・ユタ州のソルトレイクシティーで育った金さんは、「幼い時は青い目に高い鼻をした西洋人になろうとして努力したけれど、それは不可能なことだった」と話す。

 米国では新聞記者として活動していた金さんは「自分のルーツを探すことが私に残された宿題」とし、最近、専業作家として再出発した。

 『カミング・ホーム』は彼女が米国の白人家庭に養子に引き取られた韓国人として、「自分探し」の過程を盛り込んだノンフィクション。

 父を探し出した金ジユンさんは腹違いの兄や姉にも会ったが、それは喜びと悲しみを同時に与えることだった。

 「母を探したい」という熱望と挫折を上品に綴った『カミング・ホーム』は、今年6月、米国で出版された当時、ワシントン・ポスト紙から「個人の物語を人間の普遍的なテーマである家族、文化、アイデンティティーの問題へと昇華させた」と激賞を受けた。

 また、シカゴ・トリビューン紙が選定した「この夏お勧めの一冊」にも選ばれた。

 「今回のソウル旅行でも収穫がありました。父にまた会えたし、亡くなられた母方の祖母の甥がワシントンに住んでいるという事実も知った。米国に帰って、彼に会ってみるつもりです」。

 金ジユンさんは記者に「次回は子供を産んで、一緒に韓国を訪ねたい」としながら、11日米国へと戻って行った。

金泰勳(キム・テフン)記者
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