韓国映画で大学生の肉体的欲望をここまで率直に表現した映画が今までにあっただろうか。ユン・ジェギュン監督のコメディ映画『色即是空』(12日公開)は、最初から最後までなりふり構わず繰り広げる“成人向けジョーク”だ。ここ1、2年の間、韓国映画を観なかった人なら、相当なショックを受けるかも知れない。
映画の主人公たちは血気盛んな大学生たちだ。軍隊除隊後、晩学大学生になったウンシク(任昌丁(イム・チャンジョン)扮す)は、先輩の誘いのままに校内の合気柔術サークルに加入したが、エアロビクス部の魅力あふれる女子大生、ウンヒョ(ハ・ジウォン)に惹かれる。
しかし、やることすべてがもつれ、ウンシクは彼女に“変態”呼ばわれされる。映画はこうした構図の下、欲望を抑えきれない男子学生たち、そしてそんな男子学生たちのアプローチが、そう嫌でもない女子大生たちの間に起る抱腹絶倒の騒動を描いている。
浮気者のジョンミン(ハム・サンウク) に心も体もすべて捧げた挙句、傷ついたウンヒョのことを気遣うウンシクのジェスチャーのような感動のドラマも、映画に散りばめられている。だが、『色即是空』の観客が消費することになるものは、こうしたドラマではないようだ。映画の核は「これナも面白くないですか?」と問うように、自信満々に描く性欲に関するエピソードだからだ。
学食で自分のスカートの中を覗くウンシクにショック療法で対応するウンヒョのジェスチャーのように、ヤン・ヨンスンの漫画『ヌードルヌード』を連想させるウイットに富んだ想像力もあり、地下鉄での痴漢騒動、ブタ用の催淫剤を飲んだ女子大生も登場する。
笑わせながらも泣かせる“いい人”を演じきった任昌丁の演技は、この映画が“ゴミ”にならないように活かされている。真面目なコミカル演技で客席を笑いの渦に巻き込むチェ・ソングク(チェ・ソングク)と男性に積極的なハン・ユミ(ユ・チェヨン)など、助演キャラクターたちの熟練されたギャグも映画を支える柱になっている。
劇的な仕組を計算すること自体があまり意味のなさそうなこの映画は「とにかくおもしろい」という多くの成人観客の拍手喝采と「低俗コメディ映画」という評価を同時に受けそうだ。