林権澤(イム・グォンテク)監督の映画『酔画仙』がフランスで大反響を巻き起こしている。
『酔画仙』は11月27日にフランス全国60カ所の劇場で公開されてから10日で約5万2000人の観客を動員し、芸術映画としては珍しくスタートから好評を得て、観客動員数ランキング10位につけた。
『酔画仙』は19世紀の韓国画家、張承業(チャン・スンオプ)の激しい芸術魂を描いた作品で、今年のカンヌ映画祭の監督賞受賞作であることをフランスの観客にアピールしている。
現在、フランスの映画館街でハリーポッターや007シリーズの新作が1000カ所以上の映画館で興行のトップ争いをする中、『酔画仙』のような芸術映画にこれ程の観客が集まる現象について日刊紙の『ル・モンド』は「非常に驚くべきこと」と評価した。
映画専門のインターネットサイト「アロシネ」の意見ページに『酔画仙』についての感想を寄せたあるフランス人は「ヨーロッパ人がこの映画の全体を理解することは難しいが、この映画には豊かさがある」としながら、「画家(張承業)のインスピレーションを成す要素(人間と風景、歴史的次元の関係)が非常にすばらしく描かれている」とした。
11月25日にパリのユネスコ本部で開かれた試写会に出席したフランスの観客の大部分が「韓国画と韓国の自然がもたらす美しさを映画美学の次元で表現した手法は驚きに値する」、「韓国画が中国画や日本画とは異なった独自の美学を持っているという事実も新たに発見した」と語った。
『酔画仙』は公開に先立ち、現地の映画評論界の賛辞を一身に受けた。ル・モ塔h、ル・フィガロ、リベラシオン、週刊誌のル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール、レックスプレスなど、各有力誌の映画面の一面を飾ったのは『酔画仙』だった。
ル・モンドは「19世紀に韓国画の基礎を築いた画家、張承業の肖像を通じて、監督は今日の映画界内部の葛藤に対する省察を作品化した」としながら、『酔画仙』の現在的意味を強調した。ル・フィガロも『林権澤そして創作の楽しみ』というタイトルで絶賛した。
リベラシオンは「この映画が投げ掛ける最大の疑問はこうだ。非規範的な芸術を拒否する文明の中で規範を脱した画家が、どれだけ自身の顔を広めることが出来るだろうか」としながら、林監督と映画に登場する張承業を比較した。
また、週刊誌のル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥールは「この映画で伝統衣裳や舞台背景などはそれなりに成功したが、観客の視線と精神を支配するほどではなかった」としながら、「この映画はそうした束縛から脱し、古典でも現代の作品でもない、特別これと規定することができない独創的な作品」と評した。
パリ=朴海鉉(パク・ヘヒョン)特派員