「第3回李命同写真賞」を受賞した金基賛氏

 30年にわたって「路地裏の風景」をカメラに収めてきた写真作家の金基賛(キム・ギチャン/64)氏が、第3回「李命同(イ・ミョンドン)写真賞」の受賞者に選ばれた。今回の受賞は金氏が“テレビカメラマン”出身という点で注目を集めている。

 金氏は1964年、TBCテレビ映像制作部のカメラマン時代に3万ウォンで手に入れたキャノン製のカメラを持ってソウル駅に出掛け、写真を撮ることに熱中した。趣味として始めたことがそれ以来、街の風景をカメラに収めるために歩いて通勤するほど、情熱を注いだ。

 金氏は70年代から「路地裏の風景」をテーマに写真を撮り続け、日曜日となれば朝から晩まで路地裏に陣取って人々の風景などをカメラに収めた。

 金氏は主にソウル市内の中林(チュンリム)洞を中心に活動し、住民たちは彼のカメラにも意識をしないほどになった。金氏は「旧正月に町内の人々が『寒いのにご苦労さん』と手を引っ張って、餅をご馳走してくれた時のことは忘れられない」と語る。

 金氏は「今までに3~4回北朝鮮のスパイと間違えられて交番で調査を受けた時は戸惑った」としながら、「だが、一度もシャッター切る事を後悔したり、退屈に感じた事がない」と語った。

 金氏は今までに10回あまりの個展と団体展を通じて、温もりを感じさせる作品を披露し、金氏の写真は孔枝泳(コン・ジヨン)氏のベストセラー小説『ボンスニ姉さん』の表紙にもなった。

 金氏は「これまでは“路地裏の風景”にこだわってきたが、これからは肩の力を抜いてソウルのさまざまな所をカメラに収めたい」と話す。

 「李命同写真賞」は韓国報道写真のパイオニアと呼ばれる李命同氏の業績を称えて作られた賞。第1回は金喜中(キム・ヒジュン/エドワード・キム)ナショナル ジオグラフィック元写真編集長、第2回は具本昌(グ・ボンチャン)氏が受賞した。授賞式は5日午後4時からプレスセンターで行われる。

孫檉美(ソン・ジョンミ)記者
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