舞踊は最も正直な芸術だ。人間の“体”ひとつで全てを表現する。ロシアの優れた現代バレエの振付師、ボリス・エイフマン(56)は、ダンサーの“体”ひとつで複雑なドラマを創り上げる。
小説のような緊張、心理描写、論理的な展開を持ち、「文学的なバレエ」「演劇のようなバレエ」として定評がある。『カラマーゾフの兄弟』『ドンキホーテ』など、文豪の作品がエイフマンの振り付けで生まれ変わった。
そのためエイフマンの振り付けには文学的な雅趣と香りが感じられる。エイフマン率いる「エイフマン・バレエ」が12月3~8日、ソウルのLGアートセンターで公演する。昨年5月の初来韓公演で熱烈な支持を受け、再来韓が実現した。エイフマンに電子メールでインタビューした。
―今回上演する作品の中で『ロシアン・ハムレット』はあなたの最高傑作とも言われる。どういう内容か。
「18世紀中葉のロシアを強国に成長させたエカテリーナ女帝と、その不幸な息子パーヴェルの話だ。パーヴェルの運命はハムレットと酷似しているため“ロシアン・ハムレット”と呼ばれた。エカテリーナ女帝は夫を暗殺して帝位に就いたと知られている。パーヴェルは皇帝に即位した後、常に情緒不安定に悩まされ、ある日暗殺された。私は若き皇帝パーヴェルが陰謀と脅迫観念の中で憔悴していく過程を舞踊で表現した」
―あなたは10歳から舞踊を始め、ロシアの舞踊界で最も権威のある「ゴールデン・マスク賞」をはじめ主な賞を総なめした。なのになぜキエフやボリジョイバレエのようにクラシックバレエを扱わないのか。
「私は20世紀から21世紀へと移行するロシアバレエ界の新しいレパートリーをつくりたかった。また、舞踊で人間の心理を表現し、真摯な哲学的問題までも扱うには新しいジャンルが必要だった」
―外国の評論家はあなたを通じてロシア芸術の底力を感じると言う。しかし“ソビエト的な芸術ではない」と一時は国に警告されたというが…。
「旧ソ連時代には国が定めた範囲を越えるのは全て深刻な“犯罪”だった。国立バレエがあるのに、私のような個人の振付師がバレエ団を作るのもおかしなことだった。そのため私のバレエ団は常に閉鎖の危機にさらされていた。しかしソ連崩壊後、欧州や米国に海外公演に行き、世界の観客から支持を得たことで私の立場も確かになった」
―最も好きなテーマは?
「愛だ。あらゆる種類の愛。母への愛、親への愛、祖国への愛、自分自身への愛…。それで私の作品の素材はいつも様々な“人間”なのだ」
今回の来韓公演では『ロシアン・ハムレット』のほか、『ドンキホーテ』『カラマーゾフの兄弟』が上演される。米国・欧州を行き来するエイフマンは「世界のどこにも韓国の観客ほどに心がオープンで感受性豊かな観客はいない。私は韓国の観客が本当に好きだ」と述べた。チケット2万~6万ウォン。
問い合わせ(02)2005-0114