マイケル・チュの個人展「人工と自然の境界」

 26日に会った在米韓国人2世の作家、マイケル・チュ(36)さんは、展示のオープニング(30日)を控え、床に座りながら人体を組み立てていた。骨と内臓がはっきりと見える透明プラスチックの頭蓋骨や胸部、足などをはめ合わせた後、ダウンジャケットとスキー用のズボンを着せる。完成した“マネキン”は、エスキモーや氷の中から発見されたミイラを連想させる。

 マイケル・チュさんの個展(12月30日まで)が開かれるソウル市・花(ファ)洞の「pkmギャラリー」は極限の地“北極”だ。アラスカ最北端の村を撮影した映像、北極での熱の損失を描いたアニメーションが登場する。

 しかし作家にとって北極は、未知の地でも、広大な自然でもない。変化する自然と文化、文明、またその変化によるエネルギーの消耗に関心のある作家は、北極を“移住の空間”に設定した。

「アラスカはその昔、アジア人がアメリカ大陸に向かう途中に経由した移動経路です。新しいフロンティアを求めて北上した米国人と文明を探し求めて南下したエスキモーたちの足跡の残る場所です」

 “境界”もまた作家の関心事だ。マイケル・チュさんの展示は、部分と全体、中身と表面、自然と人工、破壊と復旧、個人と群集、東と西、生存と破滅…。相反するものの境界とその背後を成すエネルギーの秩序に対する探求だ。

 展示会場の1階に入ると、一匹のコヨーテが観客を迎える。2階にははく製のコヨーテ12匹がさらに登場する。裸になったプラスチックのコヨーテは「完全に手なずけられた家畜や野生の動物、すなわち人工と自然の境界」と作家は説明する。

 従順なコヨーテの群れは、巨大な鹿角の設置作品と奇妙な調和を成す。攻撃本能、あるいは人間の自然征服を象徴するような鹿角をばらばらに輪切りにした後、金属パイプに連結し、巨大に広げた作品だ。

 「境界に住むか、この場所からあの場所へどうやって越えるか苦心中」というマイケル・チュさんは、ニューヨークを基盤に活動する一方で、ホイットニー・ビエンナーレやベニスビエンナーレに参加して脚光を浴びている。

 海外のメディアは「若く、学歴も高く(エール大学大学院彫刻専攻)、民族的な背景を持っており、ニューメディアに慣れ親しみ、アイデンティティーや社会的平等、環境問題を扱うマイケル・チュは、この時代のキュレーターたちが好む条件をすべて備えている」と評した。

鄭在娟(チョン・ジェヨン)記者
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