彼は自身の漫画の主人公“コ博士”と区別がつかない程の姿だった。度の強い眼鏡に頑固そうな表情、子供のように澄んだ目にこじんまりとした姿。1970~80年代、韓国SF漫画の代名詞と呼ばれた『ロボットキング』の作家、コ・ユソン(48)に会った。
1977年に月刊『優等生』で連載を始めたこの作品が、25年ぶりに復刊(誕生編全3巻/キルチャッキ社発行)したためだ。
『ロボットキング』のシナリオは単純だ。地球の危機を予感した宇宙人が、地球人にプレゼントした究極の兵器「ロボットキング」。純粋な心の持ち主のユタンと、IQ300の天才少年コ博士、そしてサイボーグ少女のホヨンがロボットキングと力を合わせ、地球征服を狙うドクターコークスと宇宙人を退治するという内容だ。
しかし、作家独自のユーモアとSFジャンルの知識が絶妙にマッチしたこの作品に、当時の青少年たちは大いに熱中し、その人気はコ・ウソンを超売れっ子作家に押し上げた。
「登校途中のバスの中で子供たちが私の漫画を手にしているのを見て、あ~、本当に人気があるんだなって感じたんです。当時は漫画を読む子供は“不良”扱いされた時代でしたからね。毎年5月になると、漫画本が燃やされたりもしましたしね」
今年に入り、インターネット上で『ロボットキング』の復刊計画が伝えられると、書店にファンが押し寄せた。資料集を含め、3巻で2万4000ウォンという高価な価格にも関わらず、およそ790人の“ロボットキングマニア”が、予約注文をしたのだ。こうした熱い声援がなければ、“復刊計画”は実現されにくい状況だった。
「すべてが“オールドファン”のお陰です。出版社も苦労したでしょう。私の原本が残っておらず、20年前の本をいちいちスキャンして作ったんです。紙質が本当に悪い時代だったので、手で触れるだけで破れてしまうことがしょっちゅうでした」
コ・ユソンは最近、ホームページ(http://members.tripod.lycos.co.kr/Dr_KO/)を個人で運営している。新作もホームページに公開し、読者の反応をリアルタイムで感じる。同時期にデビューした仲間や後輩たちが人気を集め始め、数十人の“職員”を雇い、1日に1冊のペースでいわゆる“量産漫画”を作り出す時も、コ・ユソンは“一人だけの作業”を頑なに守り続けた。
「私は“文化産業”という言葉を信じません。文化が産業になれば個人は消えてしまいます。個人が消えれば創作もできません。商品は残りますが、作品は残りません。文化は自分との戦いによって成立するのです」
頑固そうな表情で自らの信念を語る彼と『ロボットキング』の天才少年“コ博士”の顔がまた重なった。