彼が舞台に立っただけで女性たちは足をばたばたと踏み鳴らす。
『アンニョンという言葉の代わりに』を歌う歌手の「ピ」(21)が、スクリーンのアクションヒーローに大抜擢された。漫画家パン・ハクキの作品を原作に、年明けからクランクインする梁允豪(ヤン・ユンホ)監督の映画『風のファイター』の主人公、チェ・ペダル(1922~1994/本名:崔永宜(チェ・ヨンイ))を演じる。
日本の植民地時代に柔道、剣道、ボクシング、空手、カンフーなど種目に問わず、国際舞台で100回以上の試合で全勝し、韓国人の闘魂をアピールした伝説の武術家だ。
映画『ナンバー3』で宋康昊(ソン・ガンホ)が、部下の前で「お前ら崔永宜がどうやって牛を倒したか知ってんのか?そのまま素手で角を掴むんだよ。そんで『お前が牛か?俺は崔永宜だ!』って言うわけよ…」などと語りながら“無鉄砲精神”を説く名台詞に登場する、まさにその英雄の苦悩を描いた映画だ。
『風のファイター』の制作陣は適役を見付けるために、1500人以上のスター俳優や武術家から物色している最中、スプリングのように柔軟なボディーコントロールに加え、鋭い眼光まで兼ね備えた、隠れた宝石「ピ」を発掘した。
一見、か細く美少年のようなルックスの内側には、安養(アンヤン)芸術高校時代に学校の“番長”として君臨した程に毒気も満ち溢れている青年だ。身長が1メートル82センチで、「ダンスは私の人生の自由そのもの」という「ピ」は、歌手 朴チニョンのバックダンサーとして活躍し、朴チニョンのプロデュースで歌手デrューした。
本名はチョン・ジフン、芸名は「ピ(韓国語で雨)」、英語では「Rain」だ。朴チニョンが「彼の曲を書く時はいつも雨だったから」という理由で「ピ」と名付けたという。
歌手として人気絶頂の時期になぜ映画という脱線をするのか尋ねてみると「ピ」は、「ファンの皆さんの中にも『なぜ歌に集中しないで映画に出演するのか』と懸念する方々が多いが、まだまともに知られていない自分の顔を広めたいと思って今回の映画出演を決心した」と語った。
「一度決心したら、必ず最後まであきらめない性格」という「ピ」は、「よくありがちなオーバーアクションではなく、動作は短いが真剣勝負で戦う喧嘩のようなチェ・ペダルのアクションを上手くこなしてみたい」と語った。