CDショップの売上げチャートのトップ10は、常に新世代スターで溢れている。ところが、最近のチャートには、馴染みのある有名アーチストの名前がランクインしている。
ベテラングループ「復活」のメンバー金テウォン(ギター)、ソロデビュー後、13年ぶりにボーカルとして帰ってきた李スンチョル、そしてソ・ジェヒョク、オム・スハン、チェ・ジェミンの5人だ。彼らの8thアルバム『鳥、壁』が1カ月で15万枚以上のセールスを記録している。
85年に結成された「復活」は、デビューアルバムで『ヒヤ』をビッグヒットさせ、『回想』、『愛するほど』などの曲も立て続けてにヒットさせた韓国ロックシーンに残る伝説のバンドだ。
この5年間に発表した6th、7thアルバムがまったくの不発に終わり、メジャーシーンから遠ざかっていた「復活」は、最近オリジナルメンバーでボーカリストの李スンチョルを再び迎え入れて華麗に“復活”を遂げた。ニューアルバムの収録曲を中心に「復活」の“復活ストーリー”を聞いた。
▲夜明け=ニューアルバムのタイトルは『鳥、壁』で、1曲目に収録された曲のタイトルは『夜明け』だ。自由を象徴する“鳥”と、抑圧を象徴する“壁”をタイトルにして、今までとは一味違った復活を伝える『夜明け』を作り出した彼らの新たな出発を、ファンは暖かい喝采で迎えてくれた。
「初めは、一時的なプロジェクトのつもりで始めたんですが、ファンのために次のアルバムも李スンチョルさんが参加することになりました。ファンが私たちを“復活”させてくれたわけです」(金テウォン)
▲盲目の子供が見た風景=8thアルバムのリリース間もない9月までは、まったく反応がなかった。
「テレビやラジオからも無視されました。CDショップでは、引退バンド扱いで、ポスターも隅に貼られていました。ところが、10代の若者は『ネバーエンディングストーリー』という曲は知っていても、「復活」の存在は知らなくて、新人バンドが歌っていると思ったらしいのです」(李スンチョル)
面白いのは「復活」がテレビ番組に出演し、一番人気の音楽番組に出演した時よりも、バラエティー番組に出演した翌日のCDセールスが3倍以上も伸びたというエピソードだ。彼らは“鳥”でありたいが、現実は相変らず“壁”だ。ならば、さらに耐えて“夜明け”を待つ他ないのか。
▲ネバーエンディングストーリー=17年間、バンドを率いてきた金テウォンはこう振り返る。「カネやメンバー同士の不和などは、結局何の問題でもないんです。音楽的に枯渇してしまうのではないか、その恐怖が最も怖かった」。
李スンチョルが冗談っぽく付け加える。「最悪のメンバーは音楽はできないくせに、人がいいだけの人ですね。首にもできないから(笑)。バンドはどうせカネ稼ぎのためにやるものではないので、音楽的に満たされれば、それでやって行けるんです」。
残りのメンバーも「下っ端まで行って来ているので、人気は気にしていない。末永くやって行きたいだけ」と口を揃える。当初、付けた名前は「The End」。それを変えて「復活(プファル)」にしたこのバンドは、もしかしたら、死と蘇生を母体の中から練習したことで、逆説的に「Never Ending Story」を夢見たのではないだろうか。
▲島=「音楽の時制は過去なんじゃないかな。最近はただ、今現在のストレスを解消するために音楽を聴くだけですけどね。今『Never Ending Story』を聴くファンが、2012年に10年前を暖かく思い浮かべることができれば、と思います」(金テウォン)。
「復活」の歌詞には特に愛が過ぎ去った後、思い出になってしまった過去を淋しく辿る場面が少なくない。海辺に侘しく浮かんでいる島で、波に向かって一人言を言っているような感じの曲だ。
彼らは『島』でこう歌う。「今日は昨日を生きた。変わってきた分だけ、変わらなかった分だけ、再び昨日を生きた。私は5歩のうち、残りの3歩を、島で歩きたい。今は、歩きたい」。
変わってきた分だけ、変わらなかった分だけ、彼らが力強い一歩を踏み出して欲しい。時にはふらついたり、逆戻りもするだろうが、決して諦めなかったその歩みを。