あらゆるジャンルの音楽を楽しめる『李尚恩の愛していますFM』

 ブラウン管に映るいつも同じような歌手たちに飽き飽きしたと、FMラジオをオンにしてもいつもと何ら変わらない。芸能人たちの雑多な“言葉遊び”がラジオを占領してから久しい。

 しかし、午後6~8時の時間帯だけは違う。歌手の李尚恩(イ・サンウン/Lee-tzsche)がパーソナリティーを務めるKBS第2FMの『李尚恩の愛していますFM』が、同じ時間帯に放送中のMBC-FM 『ベ・チョルスのミュージックキャンプ』と並び、音楽ファンの関心を集めている。

「世の中には無数の音楽があるじゃないですか。ところが韓国の人々は自分のスタイルに合うものだけに固執するようです。だから音楽市場が画一化されているという話が出るのです。“こんな音楽もある”ということを伝えたかったんです」

 往年のロックからジャズ、パンクまで、深夜に放送される音楽専門番組に流れてきそうな選曲だ。独特の音楽世界で熱烈なファンを持つ李尚恩のカラーがそのまま出ている。

 李尚恩が直接チョイスするゲストたちも多彩だ。アンダーグラウンドシーンで活動中のミュージシャンたちが主に登場し、“ハイレベル”な音楽を紹介している。

 番組開始当時には聴き慣れない音楽に驚いていたリスナーたちも、3週目以降からは徐々に慣れていった。オンエア曲に対する問い合わせも以前に比べ2倍以上に増えた。「少しでも耳を傾ければ、この世界から抜け出せない」と絶賛を送るリスナーもいるほどだ。

 1988年にMBCの『リバーサイド歌謡祭』で『タムダディ』を歌って大賞を受賞した李尚恩は、舞台の上をぴょんぴょんと走り回るスタイルで、歌謡界の“シンデレラ・ガール”になった。人気絶頂の時に日本での音楽活動を始めた李尚恩は、95年にオリエンタルな雰囲気のアルバム『公無渡河歌』をリリースし、まったく違う一面を披露した。

 韓国音楽界特有のスターシステムに嫌気を差した李尚恩は、並々ならない努力の末に自分だけの音楽世界を構築したという評価を受けた。韓国と日本を行き来していたが、最近両親の体の具合が思わしくなく、韓国にとどまる間ラジオのパーソナリティーを務めることにした。

「私の音楽スタイルがとても難しくて、一般の人々との距離があるという話を聞いたりします。

なので、この機会に多くの人々と親しくなれればと思います」

チェ・スンヒョン記者
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