『海岸線』で主演した張東健「発狂した軍人役…自分でもびっくりした」

 張東健(チャン・ドンゴン)はインタビューのために朝鮮日報を訪れた際、駐車してから15分以上経ってから建物に入ってきた。ファンが殺到して移動車の中に慌てて“避難”しなければならなかったからだ。

 そんな彼の人気を確認すればするほど、張東健が今回、金基徳(キム・ギドク)監督の低予算映画『海岸線』(22日公開)に、張東健としては“スズメの涙”ほどの出演料で海岸部隊の古参兵役を引き受けたのは意外ともいえる。

 民間人を誤認射殺し、その後発狂してしまうというキャラクターを演じるのは、常に“白馬に乗った王子”といったイメージの(『友へ/チング』でも格好良いヤクザ役を演じた)張東健の顔に自ら泥を塗るようなものだろう。

 公開に先立ち、14日に釜山(プサン)国際映画祭のオープニング作品としてスポットライトを浴びることになった張東健は「舞台に上がると心拍数が急に上るようだ」と話した。革のジャケットを羽織った彼は、男性でもしばらく見惚れてしまうほどに魅力的な上、海岸で日焼けした顔がいっそう成熟したように見える。

-他のスター俳優たちは巨額のギャランティーと華麗な役を演じるのに忙しいが、自分の価値よりも数段落ちる“狂った軍人”の役を引き受けたのは“勇気ある挑戦”と思うが。

「いやー、私が何かの犠牲になったり、奉仕をしたわけではない。私がやりたいことをやっただけだ。私の出演がそういう方向にフォーカスされると参る」

-ポスターのキャッチコピーが「殴れと言うなら殴るぞ」という軍隊で使う言葉だが、兵役を免除されたあなたがそういう雰囲気に馴染むのは難しかったのでは。

「撮影前に2泊3日の日程で受けた海兵隊の地獄訓練が、無残な悪夢の始まりだった。ある時は映画だろうと何だろうと、これは到底耐えられない、などと思った。だが、自分自身を省みるいい機会になった」

-あなたの今までのイメージと比べると、この映画では非常に“壊れた”場面が多いが。

「一言でそのままを演じただけだ。軍隊式の口調で、狂気に満ちた顔から荒唐な表情まで演じる姿にファンは驚くかも知れない」




-この映画でもまたレイプシーンがあるが、金基徳監督の映画は一部ファンから“変態”だの“もううんざりだ”などの悪評を聞くが。

「当初、女性が大部分を占める私のファンクラブでも反対があった。なぜ寄り道をするのかという声もあった」

-にも関わらず、なぜ金基徳監督の映画なのか。

「女性が好む好まないの問題ではなく、メリットがあって、私が惹かれるから出演した」

-どの点が?

「彼の映画は普遍的な感情でないため、同意することは難しいが、共感できる感情を表現していると思う」

-ベッドシーンはなかったか。

「映画の中に、他の人物のベッドシーンは登場するが、私はしなかった」

-あなたはこれまで一度もベッドシーンを演じなかったが、あえてやらないのか。

「ハハ…、そうではない。チャンスがなかっただけだ。ただ、ベッドシーンの“用途”を綿密に検討する性格ではある。目の保養だけのためのベッドシーンはしない」

-必要であれば、やるという意味か。

「そうだ。自信はないけど…(笑)」

-『友へ/チング』から『海岸線』まで、男性的な演技を目指しているようだが、そうするには自分の外見があまりにも美男子だとは思わないか?いつか、あなた自身「自分の外見がコンプレックスだ」と話したように…。

「正直な話、『友へ/チング』の時は、荒い世界の人間の顔を作り上げるのに苦労をした。しかし、今は大分自由になれた。最善を尽くして率直に演技すればいいのではないかと考え始めたためだ」

-この映画の中で、直接歌も歌ったと聞いたが。

「昔の歌謡曲『過去は流れ去った』を掠れた声で歌うシーンがある。新兵の時は古参兵士の命令で歌って、後は狂った状態で凄然な感じでもう一度歌う」

-アルバムをリリースしたほど歌が上手いから、さぞ楽しかったのでは?

「さあ…。いっそ上手く歌い上げるシーンだったなら良かったんだが(笑)、ただ悲しげに歌っては大きな涙を一つ、ぽたっと落とすシーンだったので…」。

金明換(キム・ミョンファン)記者
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