「庶民的なギャグが大人気」コメディアンの李ヒョクジェ

 「わ~、李ヒョクジェだ!」

 5日午前8時、ソウル市・文井(ムンジョン)洞にあるカウォン中学校で歓声が沸いた。同校の調理室で生徒たちの昼食を準備するコメディアンの李ヒョクジェ(30)のためだった。KBS第2テレビの番組『体験、人生の現場』が李ヒョクジェに与えた課題だった。

 制作陣の鉄柵のようなガードにも関わらず、調理室の前に集まった約200人の生徒たちはドアの前で「李ヒョクジェ!」を叫んだ。「Iラブ・ヒョクジェ」というプラカードを持った生徒も目立った。

 「戸惑っちゃいます。私のことを好きだという人が急に増えて…。彼らに死ぬほどおいしい食事を準備しようと思います」。包丁2丁を手にタマネギ300個を刻んだ李ヒョクジェは、痛くなった目にもなりふり構わず、休みなく動き回った。

 李ヒョクジェの人気が鰻登りだ。KBSテレビ『自由宣言、土曜大作戦』、SBSテレビ『ビューティフル・サンデー』などのバラエティ番組で、その奇抜なトークで人気を得た李ヒョクジェは、SBSのドラマ『野人時代』に出演以降、若いファンが急増した。

 李ヒョクジェは金斗漢(キム・ドゥハン)の右腕、金ムオク役でどぎつい慶尚(キョンサン)道訛りとアクション演技の実力を披露している。『大望』では主人公ジェヨンの幼なじみ役で出演している。

 「演技をするのは初めてですが、確かに魅力があります。芸能人が集まって楽しんで遊ぶのがバラエティ番組なら、ドラマは動作、言葉一つ取っても完璧なシナリオに沿って作られているんですよ。自分が何か“やり遂げた”ような達成感があります」

 李ヒョクジェの顔に“演技者”の一面を見たという張亨一(チャン・ヒョンイル)プロデューサーの誘いで、思い切ったイメージチェンジを図った。結果は大成功。だが、「もうドラマに出演するつもりはない」と言い切った。

 「松虫が松の木で暮らさなければならないように、私の本業はどこまでもコメディアンです。芸能人が自分の本分を忘れれば、ファンにそっぽを向かれてしまいます」

 李ヒョクジェは芸能プロデューサーの間で「明晰な頭脳をもったMC」としてもっぱらの評判だ。自然な笑いを引き出すという意味だ。高校時代の李ヒョクジェのIQは155。

 仁荷(インハ)大機械工学科出身の理系の李ヒョクジェがコメディアンになったのは、1998年KBS『スーパーテレビ日曜日は楽しい-キャンパス映像歌謡』でコミカルなマジック風のギャグで賞を受賞したのがきっかけだった。

 「専攻を活かして就職していれば工業団地の多い昌原(チャンウォン)や馬山(マサン)あたりに行かなければならなかったんですよ。ところが小学校の教師をする彼女(現在の妻)の職場が京畿(キョンギ)道だったので到底無理でした。それで才能もあるみたいだし、顔も知れたのでコメディアンの試験でも一度受けてみるかと思ったんです」

 その後99年、MBCテレビの公開採用10期生としてコメディアンの道を歩み始めたが、2年間の苦しい無名時代を味わった。しかし、挫折はしなかった。見る者が痛々しい程に体を張ったギャグで、ようやく昨年末頃からその存在を知られるようになった。

 「実生活とブラウン管の私の姿を一致させようと努力しています。上辺だけのギャグはすぐに化けの皮が剥がれます。

“人間・李ヒョクジェ”を素直に表現しながら、庶民的な笑いを提供するコメディアンになるのが常に私の目標です」

チェ・スンヒョン記者
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