テレビの時代劇から「女性禁止」がなくなりつつある。時代劇はテレビドラマ界の中、これまで唯一女性作家の進入を許さなかった分野。壮大なスケール、緻密な準備、女性作家は荘厳な時代劇を書けないという偏見などは、高い障壁だった。
しかし、状況は変わりつつある。テレビ局は若い視聴者を時代劇に引き込むため、女性作家の繊細な感覚に目を向け始めた。時代劇の「商品性」を確認した女性作家も相次いで挑戦状を出している。「フュージョン時代劇」、「メロドラマ的時代劇」など、最近注目される時代劇の流れ背景には、このような「女性作家の時代劇ブーム」がある。
▲どのような作家・作品があるのか=SBSテレビ『大望』の宋智娜(ソン・ジナ)氏がそのスタートを切った。『大望』は仮想の過去を背景に、華麗な武闘と青春男女の切ないラブストーリーを描く“フュージョン時代劇”。宋氏は「現代ものに飽きたため、時代劇に挑戦した。新たな時代を創造するという期待でいっぱいだ」と話す。
6日から放送されるKBS第2チャンネルの『張禧嬪(チャン・ヒビン)』も、女性の金ソンヨン氏のペン先から生まれている。宮殿の女性たちの権力争いよりは、張禧嬪と肅宗の恋愛に重点を置く予定だという。
金氏は「女性の社会的位相が変わってきているだけに、張禧嬪を依然として“妖婦”と解釈するのは問題がある」と話した。
12月2日から放送されるMBCテレビのドラマ『御史・朴文秀(パク・ムンス)』も、主に短編ドラマを書いた4年経歴のユ・ジンヒ氏が共同作家として参加している。
『許浚/ホジュン』のビョンフンPD(プログラムディレクター)が新たに制作する時代劇も、『神話』を書いた女性作家 金ヨンヒョン氏が構想を練っている。
▲なぜ女性作家なのか=ここ2~3年の間に時代劇が人気ジャンルとしての地位を確立し、ホームドラマやラブストーリー専門だった女性作家たちがそこに目を向けるようになった。
30代の新進作家たちは、1年以上にわたり資料を収集した後、先を争うように時代劇のPDに企画案を提出している。韓国放送作家協会の李ガンドク常任理事は「歴史上の人物を集中的に研究し、新たな分野を開拓しようとする女性作家が増えている」と語った。
各テレビ局も李煥慶(イ・ファンギョン)、林忠(イム・チュン)、鄭夏淵(チョン・ハヨン)など、一握りの時代劇専門の作家だけに頼ることに限界を感じている。スケールに対する執着よりは、ほのぼのとさせるストーリーに対する関心が高まっている。
『許浚』や『女人天下』の成功が“重鎮男性作家”のみが時代劇を手掛けることができるといった偏見を壊すのに一役買った。
時代劇『張禧嬪』の李永国(イ・ヨングク)PDは「時代劇に挑戦する若い女性作家を頻繁に見かけるようになった」とし、「時代劇作家の世代交代と女性作家の躍進はますます著しくなるだろう」と見通した。
▲一部の懸念=1980年代後半以降、女性作家たちがドラマを主導し、ドラマが軽く感覚的な傾向に偏ったという指摘が少なくなかった。一角では女性作家たちの時代劇進出ブームが、同じような副作用を繰り返すのではないかと警戒する。
KBSドラマ局の関係者は「女性作家たちが時代劇に新しい変化を与えるのは望ましいことだが、それが男性的ドラマといえる時代劇の美徳を損なう結果につながるのではないかと心配だ」と語った。