暴力団のドタバタ劇だけが目立つ『唯我独尊』

 3人の独身男性がある日突然、赤ん坊を育てることになるというという点で『唯我独尊』(ホン・ジョンオ監督/7日公開)は、『赤ちゃんに乾杯!』に似ている。

 しかし、この赤ん坊に巨額の行方が左右され、三人の男は赤ん坊の行方を追う暴力団とドタバタ劇を繰り広げるという点では、二つの映画は何ら共通点がない。

 酒に溺れて暮す元刑事のプンホ(李ウォンジョン)、頼りないが心優しいマンス(朴相勉(パク・サンミョン))、資格を剥奪された元テコンドー選手のジェソプ(アン・ジェモ)の3人は、同じ保育園の出身で無許可の武術道場を営んでいる。

 ある日、ビラを配りに街に出たマンスは暴力団員に追われていた男から、突然赤ん坊を託される。ところが赤ん坊の親を殺して会社の経営権を掌握した暴力団は、赤ん坊にすべての財産が相続されているという事実を後から知り、赤ん坊を探し始める。

 『唯我独尊』はこうしたストーリーの中で温かい笑いを伝えるという意図が随所に見られ、部分的には成功したと言える。コメディー映画の専属俳優・朴相勉、ドラマ『野人時代』でスターダムにのし上がった李ウォンジョンも与えられた役を難なくこなした。

 しかし、それぞれのエピソードが取って付けたようにもつれてしまい、“お寒い”笑いを与える暴力団員とのハプニング部分は、あまりにも濫発された感じがする。主役の赤ん坊の姿はスクリーンにまともに登場しない上に、赤ん坊を窓の外に突き出して脅したり、投槍が飛び交うディスコのショー舞台で赤ん坊が歩くように設定するなど、赤ん坊を“道具”のように扱うシーンも見る者の心を非常に不愉快にさせる。

シン・ヨングァン記者
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