李美妍「激しい恋の熱病にかかりました」

 李美妍(イ・ミヨン)とインタビューの約束をした日は時計を見る必要がない。「時間ぴったり」の女性だからだ。撮影現場にはいつも30分前に到着する。トップスターであれば、なおかつ女優であれば20~30分の遅刻は“当たり前のこと”であるのに。

 李美妍は完璧主義者だ。だから彼女の演技は、摂氏1000度を超す火の中で忍苦の時間を耐えた陶磁器のように、涙と悩み、情熱が節制された結晶体となって観客を魅了する。

 今月25日に公開された映画『中毒』 で李美妍(ウンス役)は、夫(イ・オル)の魂がのりうつった義理の弟テジン((李炳憲)イ・ビョンホン)との危険な愛を演じる。

 「シナリオを初めて読んだ時、テジンの切ない愛情を感じ、私も知らないうちに泣いてしまいました」『中毒』の切ない愛に中毒した李美妍は、撮影の間中、映画にどっぷり浸かって暮らした。

 「撮影の途中、家の配水管が破裂して家中水浸しになったこともあったし、ロウソクが倒れて火事になりそうになったこともありました」

 水害と火災を被りそうになったことになるが、それも「大当たりの兆し」なのではないかと思って気分が良かったという。「ウンスのことだけを考えながらウンスになって暮らしているので、他のことはどうでもいいという感じになるんです」




 李美妍は直感で演技をする。だから現場ではどんなことがあってもモニターを観ない。最初に受けたインスピレーションのまま、感情を前面に出して一度で最高の演技を作り出す。

 映画の中で、夫の魂が義理の弟の体に入ってきたことを確認するシーンがある。いわゆる「エスキモーシーン」と呼ばれているこのシーンを撮影した後、李美妍は力尽き、点滴まで打ったという。感情を込めなければならないシーンを撮影する時は1日中食事を取ることもできない。

 だから李美妍のことを皆「正直な演技者」という。複雑な計算や見かけだけの行動ではなく、純粋に心から湧き出てくる演技をするからだ。

 『中毒』のイム・ヘウォンプロデューサーは、「ミヨンさんは心の暖かい演技者です。撮影の間中、どんなに忙しくてもスタッフの誕生日を忘れずにプレゼントを渡しているのを見ると本当にそう感じます。スタッフが集まる飲み会の時も、演出部の若い子たちにまで酒をついであげながら、優しい言葉をかけるのも忘れません」など、褒め言葉を惜しまない。

 映画中毒になって暮らす女優李美妍。だからこそ時が過ぎる程深まるワインの香りのような、忘れ難い印象を残すのかもしれない。

スポーツ朝鮮』=チョン・サンヒ記者
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