「韓国の伝統文化を守って23年」マダンノリの三人組

 演劇俳優の尹文植(ユン・ムンシク/59)、金ジョンヨプ(55)、 金星女(キム・ソンニョ/52)は23年前、“マダンノリ(広場で行われる民族遊戯)”というジャンルが生まれた時から現在まで、ほぼ毎年公演し続けてきた三羽鳥だ。

 彼らが今年もやってくる。ソウル市・奨忠(チャンチュン)洞にある国立劇場に2000席規模のマダンノリ専用劇場を建設し、11月9日から12月8日まで『マダンノリ沈清伝(シムチョンジョン)』(劇団美醜(ミチュ)/孫桭策(ソン・ジンチェク)演出)を公演する。

 広場で行う演劇がどれほど面白いかを見せてくれた3人とのインタビューは、まるで自然な一編のマダンノリのようだった。3人は気さくに思い思いに語り、冗談で互いの悪口を言い合うなど、呼吸もぴったりだった。

 鳳山(ポンサン)タルチュム(仮面劇)の人間国宝の金ジョンヨプ、中央(チュンアン)大学・韓国音楽学科長を務めている金星女、そして“ユーモアのプロ”尹文植。3人は過去23年間、韓国の“広場”を守ってきた。

 「広場はどんな場所だと思いますか。子供が生まれれば臍の緒を焼き、元気に遊んで、結婚をして、最後を迎える場所です。私たちの人生にとって自然な舞台なのです」(尹文植)

 今回ももちろん、ペンドゴモム(沈清伝の悪役)、沈奉事(シムボンサ)、進行役の主役はこの3人が務める。

 尹文植が「どうしてあいつらばかり、マダンノリをするのか、と文句を言ってる人もいるだろう」と言うと金星女が「でも観客たちはマダンノリといえば私たちを思い浮かべるんだもん」と答えた。



 劇団「美醜」の団員である彼らは、最近、京畿(キョンギ)道・揚州(ヤンジュ)郡にある劇団施設で合宿稽古をしている。四方が山と畑で、バスが1時間に1台しか来ない上、役者たちが眠る部屋も男女別に分かれた二部屋しかない。そのため、20~30歳も年下の後輩たちと同じ部屋で寝る。

 ここまでしても情熱を維持している要因は二つある。 マダンノリの“草分け”という自負心と“全国民と一緒に涙して笑うことが大好き”だからだ。

 広場は常に“現在”を意味する。そのため今回の『沈清伝』は、最近の政治や社会的雰囲気を風刺する。ペンドゴモムが沈奉事を問い詰めると“特別調査権”を行使して世間を散々騒がして、明白な結果も出せないままうやむやにしてしまう。

 「物凄い事実を明白にするかと思ったら、結局は“竜頭蛇尾”で幕を閉じる政治茶番劇を皮肉った」という。

 新たに建設された専用劇場は483坪の天幕構造で、ストーブを置き、伝統料理を販売するなど“広場”の雰囲気を演出した。

問い合わせ(02)747-5161

李圭鉉(イ・ギュヒョン)記者
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