社会心理学者が分析する『野人時代』

 一介 の“ヤクザ”たちの一挙一動に子供からお年寄りまでが釘付けだ。 『野人時代』が放送される月、火曜日の晩は、サラリーマンたちが帰宅を急ぎ、小学校ではドラマの内容が分からなければ話についていけない。地下鉄駅のテレビの前に大勢の人が集まっていれば、間違いなく『野人時代』 の放送時間だ。秋も深まりシルクハット、ロングコートなどの“野人時代ファッション”も人気だ。

 社会心理学者らは、こうした『野人時代』ブームの原因をいくつか挙げる。なかでも一番の理由は“単純さ”にあるという。『野人時代』の人間関係は単線的だ。ボスと部下の垂直的な上下関係がすべてを占める。さまざまな人間関係のしがらみにとらわれている現代人にとって、これほどまでに単純明解な人間関係は憧れの対象になる。

 たった一度の決闘であらゆるものが決まるドラマの内容は、見るものに爽快感を与える。『野人時代』に登場する“無頼漢”たちは敗北を潔く認め、忽然と影をひそめる。伏魔殿の中で誰一人まともに責任を負わない社会指導層、権力に付いて回る“渡り鳥政治家”らとは明らかに違う。醜い現実政治に対する怒りと無力感が視聴者たちを『野人時代』に引き寄せるという分析だ。『野人時代』はまた、最近薄れている“男らしさ”に対する郷愁も刺激する。

 しかし社会心理学者らは『野人時代』 の行き過ぎた暴力性や暴力の美化が、大衆的な歓呼に埋没している点については深い懸念を示している。幼稚園児、小学生から青少年まで、こうした暴力性に無防備に接するのは、深刻な社会竭閧ノなる可能性もあると警鐘を鳴らす。

 ソウル大心理学科の金明彦(キム・ミョンオン)教授は「テレビの暴力シーンが子供の暴力を誘発するということは実証的に証明されている事実」としながら、「テレビ局は明確な視聴年令等級を決め、親も子供の視聴管理を徹底すべき」と述べた。

チェ・スンヒョン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース