「堂々たるアジュンマになりましょう!」

 ソウル市・麻浦(マポ)区・老姑山(ノゴサン)洞54-79。路地ごとに古びたスレート屋根の軒並みが続いているここに、「彼女たち」のアジトが隠されている。1週間に一度、古びた借家に集まって「内攻」を鍛える女性たち。他でもない「心の力」の鍛えだ。自分の中の隠された力を探すこと、それでもって、世の中に進出すること! その効き目が相当だという噂が流れ、オープンしてから1年足らずであるが、ここは内攻を鍛えようとする女性たちで大いに賑わっている。

 林巨正(イム・コクジョン)の徒党のようなこの集まりの首長は女性学者の李スクキョン(38)さんだ。

 「伝統名節(韓国固有の盆・正月)になるとストレスがたまると喚くだけでは、どうにもなりません。小さなこと一つでも、日常で変えて行かなければ。自信もなければ、人生の知恵が足りないせいです。女性としてこれまでに経験した被害意識、躊躇、憂鬱などを勝ちぬくためには、多数が一緒に集まって心の力を鍛えなければなりません」

 梨花(イファ)女子大学大学院で女性学の修士号を獲得した李さんは、何よりも現場での実践を強調する。初の職場だった韓国性暴力相談所で「現場」を体全体で経験し、1999年に初めて「アジュンマ(おばさん、主婦の総称)内攻プログラム」を始めた。97年と98年の通貨危機の過程で、この地の男性たちが生きて来た方法に大きな疑問が投げかけられた。7歳の娘を持つ自称アジュンマ・フェミニスト 李スクキョンさんは「噴出をするだけで、凝集することを知らないアジュンマの社会化訓練をしよう」と決め、インターネットに飛び込んだ。

 内攻プログラムは、女性たちが独立心と経済力を同時に備えることに集中する。インターネットホームページの「ジュンマネ(www.zoomanet.co.kr)」をオープンした李さんは、4人の主婦と一緒に井戸端会議を開くことで、内攻プログラムを開始した。

 「最初は1週間に一度、オフラインで集まり、夫や義父母との葛藤、育児問題などをはじめ、自分の人生計画に至るまで、互いの悩みを引っ張り出し、解決策を探すことで友情を築きました」

 世の中と出会うことも必要だった。写真作家・オ・ヒョングンさんの『アジュンマ』展を観覧し、女性の人生を描いた映画を観に行った。10代の集まる新村(シンチョン)や大学路(テハンノ)の通りを踏査しながら、若者たちの文化を理解しようと努力した。

 次は「カネを稼ぐ力」を鍛える番だった。「真っ先に開拓したのは、文を書いてカネを稼ぐことでした。探してみたら、意外に市場が広かったんです。基礎的な文章力だけ整えれば、後は自ら走り回ってカバーするようにしました。専門作家を講師として招聘して訓練もさせました」

 3カ月間の教育を受けることで内攻を鍛えたアジュンマたちは、あっという間に女性誌を開拓した。「大韓民国の女性たちは何でも書ける」という戦略が適中したのである。そうして、これまで50人あまりの自由寄稿家が生まれた。彼女たちは月平均70万ウォンあまりの収入を得ている。

 「競争ですか?それよりは協力の方が多いですね。1~2人に仕事が入ってくると、一瞬にして網のように広がります」反女性的でないかぎり、媒体を選ばないというのが彼女たちの原則だ。

 「女性運動って、特別なことではないのです。女性自ら自分の日常を変化させながら、社会に関心を持つよう支援すること。家の中だけにこもっていた主婦たちが、自分たちに必要な情報を捜し求め、人と会って世の中を経験することが、女性学の本を1冊読むより、はるかに大きな勉強になるんです。数人の先覚者が先頭に立って、叫ぶことだけでは限界があります。多様かつ小さな出発点が必要なのです」

 李スクキョンさんは「寄稿でカネを稼いだら、アジュンマのための媒体を直接創刊することが私たちの素朴な夢」と語った。

金ユンドク記者
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