「バンドの原点に戻る」 2年ぶりにアルバムを出す紫雨林

 「バンドらしさ!」。ロックグループ紫雨林(チャウリム)は、6日リリースの4thアルバムを紹介する文頭にこう記した。紫雨林はもともとバンドで、それも実力と人気を兼ね備えたロック界を代表する看板バンドだ。そんな彼らがなぜ今更「バンドらしさ」という言葉を使ってニューアルバムを表現しようとしたのか。

 「バンドスタイルの原点に戻ったと言いましょうか。舞台の上でバンドだけですべて解決できる音楽をしたかったんです。私たちは作業の3分の1ほどをコンピューターで行っていましたが、今回は思い切ってまったく使いませんでした」

 紫雨林がデビュー以来、ファンを魅了してきた音楽的魅力のキーワードは「奔放」と「自由」だった。アルバムごとに音楽のスタイルは少しずつ変化したが、金ユナ(Vo、G、Key)の独特のカリスマやボーカル、作曲力、李ソンギュ(G)、金ジンマン(B)、ク・テフン(D)のメンバー同士のまとまったチームワークは抜群だ。

 しかしその裏で、これまでの道のりはそう容易でなかったようだ。デビューと同時に華麗にスポットライトを浴びて、無我夢中で活動をしながら感じた空虚感。2000年にリリースした3rdアルバム『ワンダーランド』以降、4thアルバムを発表するまでの約2年間は、そんな葛藤を克服して再充電する“休息期間”だった。その間、金ユナはソロアルバムで音楽的な溝を埋め、メンバーとともに日本と韓国を行き来しながら公演を繰り返し、音楽的問題を試行錯誤した。

 ニューアルバムを聴いてみれば、そうした努力の結果が十分にうかがえる。“バンド音楽への回帰”と「う外面だけの変化ではな「。タイトル曲『ファンだ』といったモダンロックから、哀愁のブルース曲『私たちのために祈ってください』、弾けるように力強いソウル&ファンクの『ヘイ・ガイズ』、荒削りなロックサウンドを強調した『VLAD』や『捜査班長』といった曲まで、全体的にサウンドの量感と幅の面で、以前のアルバムと比べ確実に変化している。

 「あらかじめ話し合うこともなく、各自が作った曲を寄せ集めたんです。無理してカラーを合わせようとせずに、そのままの状態でレコーディングしましたが、曲ごとに思い通りの感じがよく出ていて、とても満足しています」

 金ユナはその中でも昨年9月11日に起こった「米中枢同時テロ」や紛争をテーマにした『私たちのために祈ってください』、『#1』、『望郷』といった曲を作った。金ユナは「音楽をするということは他の人々よりも敏感だという意味のようだ」とし、「無残なテロや相次ぐ戦争を見ながら受けた情緒的なショックから自由になれなかった」と語った。

 紫雨林は28、29日にオリンピック公園テニス競技場で、大型野外カムバックコンサートを開く。音楽のみならず華麗な照明や映像を使った演出を動員して、“ライブバンド”の醍醐味を見せると意気込んでいる。

 「バンドをいつまで続けるのかと心配してくださるファンが多いんです。それが韓国のロックバンドの現実なんです。そういった面では、私たちはまだ運がいいほうです。

目の前の人気に縛られずに音楽をやろうと努力し、また多くのファンがそんな私たちを好きだと支持してくれるので」

権赫鐘(クォン・ヒョクチョン)記者
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