初のクロスオーバーアルバムを出したバイオリニスト金ジヨン

 イタリアの作曲家カッチーニ(1551~1618)の『アヴェ・マリア』。旧ソ連ラトビア出身でソプラノ歌手のイネサ・ガランテを筆頭に、洪恵敬(ホン・ヘギョン)、シン・ヤンオク、チョ・スミなどが歌い、爆発的な人気を集めた曲だ。チ・ユン(Chee-Yun)という米国式の名前で世界を舞台に活躍しているバイオリニストの金ジヨン(32)が最近リリースした初のクロスオーバーアルバム『金ジヨンのプロポーズ』の1曲目に収録された『アヴェ・マリア』は、特有の感覚的な響きとカラーに満ち溢れている。金ジヨンが第1バイオリンを務めた弦楽四重奏(バイオリン2、ビオラ、チェロ)にハープが加わった編曲は格別だ。

 国内の「アイドリーム・メディア」がリリースしたこのアルバムは、大衆的に人気の高い曲を1曲目に持ってきた“意図”通り、発売と同時に国内のクラシックアルバムチャートの上位にランクインした。日本でもデンオンレーベルから9月にリリースされる予定だ。さらに金ジヨンは9月にソウル(29日)、水原(スウォン/10月18日)などで「暎(ヨン)芸術企画(02-720-6633)」の主催で独奏会も開く。10月3、4日ソウル、24日中国上海でのKBS交響楽団(キタエンコ指揮)との共演も目を引く。

 「今回のアルバムは主に旋律の美しい声楽曲を中心に選びました。メロディーが豊かで自ら楽しみながらレコーディングしました」

 アルバムにはヘンデルの『私を泣かせてください』、テオドラキスの『汽車は8時に去る』、スビリドフの『オールドロマンス』、シークレット・ガーデンの『Song From a secret garden』、映画『ニューシネマパラダイス』のテーマ曲などを収録した。ジュリアード音楽院出身の若手作曲家ケンジ・バンチの編曲も感覚的な才能を発揮していると評価されている。チョ・スミのアルバム『オンリーラブ』のプロデューサー、エトレ・ストラッタが金ジヨンのアルバムにもプロデューサーとして参加し、今年5月にニューヨークで収録された。

 「例年になく忙しい夏を過ごしました。スポレート、ラビアナ、アスペン、カラムオ…。夏の音楽祭だけで8カ所を回って演奏しました。ペンデレツキーのバイオリン協奏曲2番をアンソニー・ウィットの指揮で共演したアルバムが『ナクソス』レーベルから発売される予定です」

 ソウル生まれの金ジヨンは13歳の時にジュリアード音学院に留学、14歳でニューヨーク・フィルハーモニックのオーディションを受け、ズビン・メータ指揮の同オーケストラと共演してデビューを果たした。以降、主要オーケストラと何度も共演、92年にはチェリスト・ヨーヨーマ以来、東洋人としては二人目のエイブリー・フィッシャー賞を受賞をした。93年には国内でナンパ音楽賞を受賞し、クリントン前米大統領の招待でホワイトハウスでも演奏した。

金龍雲(キム・ヨンウン)記者
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