「落ち着いているようで無茶な男を演じたい」

 金ジュヒョク(30)という名前はまだあまり知られていない。しかし、プロゴルファーでタフガイのミン・テフンのファンはますます増えている。映画『セイ・イエス』で存在をアピールした俳優の金ジュヒョクがSBSテレビのゴルフドラマ『ライバル』で若手タレントをリードし、絶大な人気を得ている。

 ドラマの中で金ジュヒョクは大企業の後継者で、事故で兄を失い落胆しているプロゴルファー。ゴルフに天性の才能を持つ女性ダインに恋心を抱き、あれこれと彼女をサポートするが、表面上は冷たく接している。「台本をもらった瞬間“白々しい人物”という気がしたんです。典型的な金持ちの息子だったんです。それであまり似合わない庶民的な面を加えるのに力を注ぎました。しっかりした人が無茶な行動をとるのって魅力的じゃないですか」

 金ジュヒョクは自分が意外にも人気がある理由として、パワー漲る若手俳優の中で物静かな“静劇”の演技を見せているためだと分析した。制作陣から「とても暗い。もうちょっと明るく」と注文されたが、最後まで自分のスタイルを押し通した。

 金ジュヒョクはタレント金茂生(キム・ムセン)の息子。しかし彼は視聴者に自分が“誰かの息子”であることを知られるのが嫌だという。「父の影響で演技を始めたわけではありません。人見知りの激しい内気な性格を変えたくて演劇映画学科を志望しました。私の内面の赤裸裸な感情を表に出したかったんです」

 金ジュヒョクは演技の根を演劇に下ろしている。大学(東国(トングク)大演劇映画学科)卒業後の1年間、劇団で経験を積んだ。98年にSBSのタレント公募に合格してテレビ演技者の仲間入りを果たしたが、その場しのぎのドラマの制作システムに疑問を抱き、葛藤が多かったという。

 そのためか金ジュヒョクは、テレビよりも映画に更なる魅力を感じていた。彼は10月公開予定の映画『YMCA野球団』で、東京での留学生活を終えた独立闘士で野球団の投手、オ・デヒョンを演じる。「テレビにはない情熱を映画では感じることができます。

これからも無表情なコミカル演技をスクリーンで披露できればと思います」

チェ・スンヒョン記者
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