女性団体の後援会長を務める歌手のパティ・キムさん

 最近、歌手のパティ・キム(64)さんの一日は、9月18、19日に世宗(セジョン)文化会館で行われる秋のコンサートのために慌しい。朝起きれば「1曲目は何を歌おうか」ではじまり、床に就けば「ステージの感じはどうしようか」などと余念がないからだ。特に今回のコンサートは、公演の収益金の一部を自ら後援会長を務める韓国女性団体連合に寄付することになっており、いつにも増して気を遣っている。

 パティ・キムさんは女性団体の後援会長を務めるようになってから、周囲を見る目が変わり、また周囲の目も変わったという。「最近はニュースを見ても戸籍制度の廃止や売買春の問題などが流れると、自然に耳を傾けるようになりました」。歌手一筋で徹底して自分を管理してきた彼女にとって、女性団体の後援会長という役割は特別なものに感じられる。

 「50代の時にもさまざまな団体から、いろいろと引き受けてほしいという話が多かったんですが、全て断っていたんです。ところが昨年の春に、女性団体連合から運営が非常に難しいという話とともに、後援会長を引き受けてほしいと言われた時は断れなかったんです」

 パティ・キムさんは後援会長に就任後「娘愛、家族愛」というテーマの下、女性団体連合の後援金準備のために全国8都市のツアー公演を行った。収益金の一部は女性団体連合に委ねられ、運営の大きな力となった。彼女は「何よりも私の公演を通じて女性団体連合が一般の人々に広く知られるようになり、やりがいを感じる」と語った。

 パティ・キムさんの女性団体との縁は、1995年まで遡る。キムさんは当時、資金問題で行き詰っていた「女性の電話」仁川(インチョン)支部から援助をしてほしいという手紙を受け取った。手紙には暴力を振るわれる女性たちの悲惨な写真も同封されていた。キムさんはこの団体を支援することに決め、仁川文化芸術会館で寄金準備公演を開いた。その翌年にも「女性の電話」からの要請を受け、全国8都市でコンサートツアーを行った。当時、網膜の手術を受けた直後だったにも関わらず、サングラスをしながらステージに上がった。

 最近になって“女性界”に飛び込んだ彼女の目標はやはり“歌唱力のある歌手”として記憶されることだという。「今後の私の目標は、歌手50周年記念の公演を成功に終わらせることです。

でも、それ以前に舞台に上がれないような声になれば、潔く引退するつもりです」

孫檉美(ソン・ジョンミ)記者
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