「最近のドラマはリアリティーに欠ける」

 “金秀賢(キム・スヒョン)伝説”が再びよみがえるか?今年3月からスタートしたKBS第2テレビの週末ドラマ『私の愛は誰なのか』が、開始5カ月目にしてようやく好感触を得ている。スタート当時は10%にも満たなかった視聴率が、ワールドカップ以降20%を超えている。これに伴いKBSは最近、年末までの放送延長を決定した。

 「私のホームドラマの特徴は“リズム感”ですが、一時的に視聴者のみなさんがこれに慣れなかったようです。最近の視聴率の上昇は、テンポの速い台詞と個性的なキャラクターが視聴者から好感を得ているためでしょう」

 放送作家の金秀賢さんは、スタート当時ぎこちなかった若い俳優たちが、最近になってようやくしっかりとした演技をこなしている点も人気の秘訣の一つに挙げた。「このドラマに出演した若い俳優たちは“多国籍連合軍”でした。ユン・ダフンさんを除いては一緒に仕事をした人がいなかったんですよ。基本的な発音もままならなくて、台詞についていくことが出来なかったんです。台本の読み合わせのたびに横で口をすっぱくして指示しました。最近ではみんな驚く程成長しました」

 金秀賢さんの作品は劇的な状況で対立する男女の姿を描いたメロドラマと、リズム感のある軽快な感じのホームドラマの二つに分けることができる。前者の代表作が『青春の罠』、『決別』なら、後者は『愛がなんだか』、『風呂屋の男たち』がある。今回のドラマは後者に属する。

 しかし金秀賢さん自身は「ただ“普通の人が人間らしく生きる姿”を描いたドラマに過ぎない」という。そのため彼女のドラマには“極悪なキャラクター”を登場させないのが“鉄則”だそうだ。「最近のドラマを見ていると、ちょっと残念になります。複雑な状況設定と非常識なキャラクターがあまりに多く登場して、リアリティーに欠けるという気がするんです。年配の方々が見たときに身近に絶対にいてはならない“変種”たちがブラウン管を闊歩しているのです」

 今年の3月末に放送されたMBCテレビのドラマ『狐と綿菓子』が、自身の作品『風呂屋の男たち』を盗作したという裁判所の判決を導き出した金秀賢さんは現在、担当プロデューサー、放送作家らを相手取り、30億ウォンの損害賠償請求訴訟を進めている。そんな彼女は、最近放送界にはびこっている盗作についての話を始めると、急に声のトーンが高くなった。

 「かなり深刻な問題です。他人の物を持ってきて、それに少しだけ手を加えて自分の物であるという放送作家がどこにいますか?最近では視聴率が少しでも高ければ、ほとんどが盗作じゃないか言われるほどじゃないですか。本物の放送作家がますます少なくなっているようです」

 最近ゴルフで健康管理をしているという金秀賢さんは、いつまで活動をするのかという質問に「もう休んでもいい時期じゃないか?」と聞き返しながらも「書き物をする楽しさを、そう簡単には諦められないでしょうね」と語った。

チェ・スンヒョン記者
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