里親会でボランティアする「元コメディエンヌ」権貴沃さん

 雲が低く広がる中、テレビドラマ『太陽人 李済馬(イ・ジェマ)』の撮影が行われている民俗村。ドラマの中で「ソビのお母さん」として出てくる女優の権貴沃(クォン・クィオク/53)さんがNGを出した後、「NGを出さない方なのにおかしいな」と言いながら、スタッフに申し訳なさそうにした。

 1970年代、テレビ番組『笑う角には福が来る』などで最高の人気を得た“韓国のお転婆ルーシー” 権貴沃さんが20年ぶりに演技者として戻ってきた。権さんは「私があまりにも変わったせいか、昔の“権貴沃”だということに気が付かない人が多い」とし、「でも私がボランティアをしている里親会の子供たちが『女優のおばさん』と言いながらサインをねだってくる時はテレビに復帰した実感が湧く」と話す。

 権さんが「第二の演技生活」に挑戦すると共に始めたのは里親会でのボランティア活動。2000年から週末になると、旅行はもちろん、知り合いの結婚式にも出席せず、里親会に預けられている子供たちを訪ねた。平日は依託家庭に預けられ、週末になると集まってくる50人あまりの子供たちのために、市場で材料を買ってご飯を作ってあげたり、食事の後は後片付けもする。権さんの手はそのせいか、少し赤く膨れあがっていた。

 「1人で娘を育てているせいか、里親会に子供を預けているシングルマザーの辛さが分かるので、何かの力になれればと思いました」

 権さんは80年、スターとしての生活を終え、結婚をするために米国に渡ったが、紆余曲折の末、娘を1人で育てることになった。「私に期待をかけていた人たちの顔を見ることができず、韓国に戻ることもできませんでした。“国際迷子”のような生活でした」権さんは一時、「サンフランシスコの絶壁で交通事故を装った自殺をしようと思ったこともある」とし、「ふと娘の顔と共に『私も他人のためにすることがあるのではないか』という考えが浮かび、元気を取り戻し始めた」と話す。

 権さんは1996年に米国での生活を整理して帰国、今年『太陽人 李済馬』と朝の連続ドラマ『テレビ小説-人生画報』に固定出演することになった。権さんは過去について「俳優になるため痛い訓練を受けたというところ」とし、「再び演技を始め、ボランティアもしている最近は毎日が楽しい」と笑った。

孫檉美(ソン・ソンミ)記者
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