利口な犬「カンガディン」で帰って来た漫画家の金サム

 「大人と子供が一緒に読める、欲を言えば、3代が一緒に読める、そんな漫画を描くのが私の夢です」

 『カンガディン』(パダグリムパン出版)が帰ってきた。今の40代以上の世代の中には『少年007』の作家、金サム(61)を覚えている読者も多いだろうが、父兄になったばかりの30代やその下の世代には、いたずらな黒い犬『カンガディン』の方が馴染み深いはずだ。

 帰ってきたカンガディンのことを更に嬉しく思えるのは、今、ここの人生とユーモアを盛り込んでいる「2002年のカンガディン」だからだ。1970~80年代の人気作が復刊の形で再出版されている最近のトレンドとは、その形が異なる。1970年代のカンガディンの誕生初期、ドキドキする冒険を描いた作家は、今や年の功を生かし、2000年代の子供たちに新たな感動と教訓を与えているのである。

「年を取ると、これまで目に付かなかったことに気付くことが多いですね。若いごろ『カンガディン』を描く時は、自分で考えても、ただ笑わせようとだけ努力した。しかし、孫も生まれた今になってみると、いろんなことを考えるようになります。配慮、感謝、生命、宗教などなど。もちろん、漫画の面白さはベースにすべきですがね」

 今回の『カンガディン』は昨年3月から、ある少年新聞に毎日掲載した作品を集めたものだ。この本には、主人の家の息子、クブルの面倒を見る哲学的な黒い犬として登場する。子供たちのいじめ問題、子供の教育問題に関する作家の考えが、作品の至るところに溶けこんでいる。もしかしたら、今回の作品の最初の読者は今の子供ではなく、以前の読者だった、その父兄なのかも知れない。

 今月初め、彼は漫画家協会が主管する「夏の漫画学校」に行ってきたという。子供と青少年に漫画の実技を教えたり、自然も楽しむ一種の「漫画キャンプ」だ。そのキャンプに参加した子供たちが、自分が誰なのかも知らないのに、一緒に写真を撮ろうとしきりに強請ったという。理由を聞いたところ、「パパやママから必ず写真を撮って来るようにと言われた」という返事が返ってきた。「昔、私のファンだったというんです。ありがたい話です。今は父兄になった昔の読者たちに、私が生きている間に学んだ経験を『カンガディン』を通じて伝えたいですね」。

魚秀雄(オ・スウン)記者
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