「(対象が)そこにあるから」カメラに収める写真作家もいれば、「そこにあるべき」対象にレンズを向ける写真作家もいる。中部(チュンブ)大学のホ・ヒョンジュ(43)写真映像学科教授はどちらかというと後者に近い。ソウル忠武(チュンム)路のフジフォトサロン(02―2273-5480)で、『奪われた歳月―慰安婦ハルモニ(おばあさん)展(10日まで)』を開催するホ教授は6日、「生きた歴史同然の慰安婦ハルモニたちの姿を世の中に知らせることを、ここ10年間願ってきた」と語った。
「90年代初め、政府に申告された生存している慰安婦ハルモニはあわせて205人だったが、今は140人に過ぎません。毎年こうやって数が減っているのに、人々は関心を持たず見過しているのです」
展示会のテーマは「奪われた歳月」だが、事実上写真に写っているのは日本軍に青春を奪われてからのハルモニたちに“残された人生”だ。ホ教授は去年春から1週間に1日、駐韓日本大使館前で慰安婦ハルモニたちの集会が開かれる毎週水曜日には現場に足を運び、週末にはハルモニらの住まいである京畿(キョンギ)道・光州(クァンジュ)市の「分かち合いの家」を訪れ、ハルモニたちのハン(恨)のこもった話に耳を傾けた。
「地方にお住まいの方々に会うために釜山(プサン)や大邱(テグ)、海南(ヘナム)などにまで駆け回りました」
ホ教授が生活をともにしながら撮った写真の中のハルモニたちは、「慰安婦」という名前で一括りされていない。その代わり「李ヨンスさんが朴オクリョンさんの汗を拭いてあげている」、「憤りのあまり、地面に転がり込んだファン・グムジュさんをユン・ミヒャン事務処長がなだめている」といった風に説明ごとにハルモニたちの名前が書き込まれている。薬を頼りにその日その日を生きていながらも、ホ教授を“お嬢ちゃん”と呼びながら、直接絞ったごま油をプレゼントしてくれたハルモニたちなのだ。
「普段性格が荒く口が荒いため、“悪口ハルモニ”と呼ばれたハルモニがいました。ある日、そのハルモニが『10年が過ぎても解決されなかったのに、この先10年が過ぎたとして何が変わるんだ』と泣きわめくのを見て、胸が痛みました。『この痛みを記録に残そう。近代女性史を写真で残そう』と決心を新たにしました」
ホ教授は「ハルモニたちが1人でも生きていらっしゃる限り、10年でも20年でも、ハルモニたちの姿をカメラに収めるつもり」としながら、「今回の展示会が、歴史に無関心な若者らが過去の痛ましい民族史を振り返る機会になってくれることを望む」と語った。