『マッチ売りの少女の再臨』仕上げ作業中の張善宇監督

 映画『あなたに私を送る』、『花びら』から『悪い映画』、『バッドムービー』、『LIES/嘘』まで、制作する作品ごとにセンセーショナルな話題と論争を捲き起こした中堅監督の張善宇(チャン・ソンウ)は今、夏も感じられないほど多忙だ。『マッチ売りの少女の再臨』という、タイトルからして突飛な新作の仕上げ作業に追われているためだ。

 ベールに包まれていた“TTL少女”イム・ウンギョンをスクリーンに引っ張り出し、韓国映画史上最大の“制作費100億ウォン”を注ぎ込んだことだけでも、『マッチ売りの少女の再臨』は2000年クランクインした時から話題を呼んだ。2年余りにわたって制作されているこの映画は、当初この夏公開され、ハリウッドの大作と競争する予定だったが、数回の延期を繰り返した末、またも秋夕(チュソク/旧盆)ごろに延期された。コンピューターグラフィックの仕上げ作業のためだという。

 一体、どれほど私たちを驚かせるつもりで、このように渾身を込めているのだろうか。両水里(ヤンスリ)のソウル総合撮影所・録音室で音響のミキシング作業に余念のない監督に質問を投げかけた。

-『マッチ売りの少女の再臨』は撮影現場もあまり公開しなかった。どんな映画なのか聞きたい。

「後で観れば分かる(笑)。一言で言って、アクション映画だ。ジャージャー麺の配達員がゲームセンターでアルバイトをしている少女に恋をする。仮想現実と現実を混同する青年は、少女とうりふたつの女の子が登場するゲームの世界で、少女を助け出そうと死闘を繰り広げる。アクションのようでSF的な、それでいてラブストーリーもある、フュージョンジャンルと言える」


-アンデルセン童話の『マッチ売りの少女』をひねったと聞いている。

「そうだ。1998年に地下の創作集団メンバーが書いた『マッチ売りの少女の再臨2』という詩を読んで、ぞっこんになった。マッチ売り少女の物語を、堕落した現代社会の抽象画として捉えたその“転覆性”に驚いた。童話の中のマッチ売り少女は淋しく死んで行くが、この映画では“ライター売り少女”がライターを買ってくれない世の中の人々に向かって復讐をする」

-映画評論家の康漢燮(カン・ハンソプ)教授は「この映画に期待している。天才の作品は全て意味があるから」と話した。

「ハハハ。嫌いではない話だ」

-この映画には仏教的な瞑想と悟りが解け込んでいるというが、それでは映画が重苦しくなるのではないか。

「例えば、『華厳経(ファオムギョン)』には頭の痛くなるような部分があった。それは私が若いごろ撮った映画だから…。私自身、今になって観ようとすると恥ずかしくて観れない。しかし、今回の映画は100億ウォンを注ぎ込んだのだから、そういう訳にはいかない。悟りも何も考える暇もなく、ジェットコースターのようにびゅんびゅんと物語が展開される。観客はほぼ幻覚状態にまで至るだろう。アクションが与える快楽を楽しむだけでも“元を取る”映画だ」

-『バッドムービー』、『LIES/嘘』などのように、あなたは映画を発表した後、辛いことも多く経験しているが。

「映画の外的理由で面倒なことが起きると、映画をやることに懐疑を感じることも多かった。今回は制作すること自体辛くて、『果してこれを続けるべきか』と考えたこともある。それでも、私はこの映画で多くのものを得た。最近は、この次の映画ははるかに容易にやれそうな気がする。あの峠だけ超えれば、あの丘さえ超えれば…。

」金明煥(キム・ミョンファン)記者
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