『良い人がいたら紹介して』のモ・ジウン監督

 26歳の未婚の女性監督が30億ウォンの予算を投入したロマンチックコメディーの監督を務め、映画を完成した。今年8月8日に公開予定の申恩慶(シン・ウンギョン)・鄭俊浩(チョン・ジュンホ)主演の映画『良い人がいたら紹介して』のモ・ジウン監督。忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)デビューを果した監督の中でも、20代の女性監督が主流商業映画の演出を務めるのは極めて異例のことだ。

 20日夜、狎鴎亭(アックジョン)洞で夜12時までモ・ジウン監督と語り合った。さほど高くない背丈に大学生と見間違えるほどの童顔(モ監督は今、映画アカデミーに通っている“映画学徒”でもある)。「この人、本当に監督なのだろうか」というのが初印象だった。しかし、言葉を慎重に選びながらも、自分の言いたいことは静かに、しかし力強く全て話す姿勢から、カリスマが感じられた。

 モ監督は東国(トングク)大学で演出を専攻した。漫画からヘビーメタル、クラシック、武術に至るまで、モ監督の関心は限りなく多様だった。それが、今日のモ・ジウン監督を作り上げた土台となったようだった。学生時代は日本料理屋のホールアルバイトをはじめ、故郷の済州(チェジュ)でミカンの収穫作業に至るまで、モ監督が経験したアルバイトの職種だけで40種類にもなる。

 モ監督は一時、映画シナリオを元に、具体的に撮影するカットを分けて構成する“ストーリーボード作家”だった。『マッチ売り少女の再臨』、『友へ/チング』、『海賊ディスコ王になる』のストーリーボードを書きながら、その能力を認められた。


-監督になった感想は?

「昨年12月に提案を受けて、冗談だと思いまオた。初めは断りましたが、2、3日悩んで、結局受け入れました」

-公開を控えている感想はどうですか。

「早く観客に会いたいですね。ドキドキするというより、どうせ避けられないものなら、早く済ませようかなと…(笑)」

-評価と興行に対する自信は?

「一生懸命やったんだから、天も少しは分かってくれるでしょう。興行の方は少しは大丈夫かなと思うのですが、評価は正直、心配ですね」

-現場で女性だからということで、難しく、辛かったことはありませんでしたか。

「初めは少し心配しましたが、やってみたら、そんな事は問題になりませんでした。スタッフもみな若く、よく指示に従ってくれました」

-撮影中、辛くて泣いたことは?

「1回だけありますね、撮影したものが全部駄目になって。撮影始めて間もないごろだったので、恥ずかしいも何もありませんでした」

-現場では凄みを利かす他の監督と違って、一時もじっとしていなかったと聞きましたが。

「もともと、じっとしていられない性格なんですよ。準備の足りない点が目に付けば、心が焦って担当スタッフよりも先に駆け付けて、自分で整理したりしました」

-気に入らなかった場合、怒鳴ったりもしましたか。

「1回だけしました。『撮影部が知っていることを演出部が知らなくてどうする!』と言ったのが全部です」

-『良い人がいたら紹介して』はどんな映画ですか。

「友たちに紹介してあげることになった人を、自分で好きになってしまう話です。日常に追われて、あちこちにぶつかり、ある時は『ああ、チキショー、死んでしまおうか』と愚痴る、そんな普通の女性の日常と恋愛の物語です。それでも、常套的ではなく、面白いですよ」

-このような恋愛物語をきれいに描ける人だということは、平常、恋愛に関心が多かったのでしょうか。

「大学時代、みんなが私に恋愛相談をもちかけたほどです(笑)」

-理論に詳しかったわけですね?

「そうですね。しかし、実践には弱いです。ステキなロマンスはあまり経験がないんです。片思いだけはたくさん経験しています」

-映画にはキスシーンもありませんでしたね。

「徐々に作り上げていく恋愛の物語なんです。本当に好きなら、そんなに簡単には近付けないものだと思うんです」

-ロマンチックコメディーでデビューを果しましたが、本当にやりたいジャンルだったんですか。

「距離がありますね」

-ならば、本当にやりたいジャンルは?

「ノワール風のスリラーです、アクションのある。最も暗鬱した物語が、人間の本性を刺激すると思うから」

-自分の性格はどうだと思いますか。

「ある時は女らしくて、ある時は男みたいですね。でも、どっちかと言えば、大胆な方です(済州出身のモ監督はサムソン女子高校時代、生徒会長を務め、成績も校内で上位だったと、ヨンファセサンのアン・ドンギュ代表が付け加えた)」

 漫画にまだ関心があるのかと聞くと、モ監督は「映画をやって、後で年老いたら、漫画をやるつもりなんです」と答えた。

金明煥(キム・ミョンファン)記者
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